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11月9日 18時0分
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【US Market Update】Vol.2 続落した米国株式市場 - 広木隆「ストラテジーレポート」

昨日の「US Market Update Vol.1」で、「今晩の米国株式市場は下げ止まるだろう」と述べたが、ダウ平均は121ドル安と続落。レポート創刊号から見通しが外れて、なんとも面目ない船出となったが、見方は変わっていない。「財政の崖」のリスクが懸念されて下げたわけではない。メディアは市況解説にいちいちもっともらしい理由をつけたがる。「〜を好感して上昇」とか「〜が嫌気されて下落」などだ。だが、理由がよく分からない相場の上下動というものがある。ここ一両日の動きはまさにそれだろう。根底には「財政の崖」に代表される政治リスクの不透明要因があるのは確かだが、それが直接相場の下落を引き起こしたわけではなく、そうした地合いのなかで、目に見えない要因が複合的に絡みあって起きた下落であろう。

「下げ止まる」というのをメインシナリオにしたうえで、懸念材料を二つ挙げた。一つはチャート上のサポートラインを切ってきたこと。もう一つは4年前の大統領選投開票日翌日の大暴落が1日では収束せずに2日に及んだことである。おそらく、下向きのトレンドが強まったことで弱気派が増えたのだろう。前日の300ドルを超える急落の余波が残る市場はまだ脆弱であると見た向きが、弱気派の増加を見越して売り圧力を強めたと思われる。ここまで書いてきて、これらの文章は単に「相場が売られて下げた」ということを述べているに過ぎないことに気がついた。相場とはそういうものである。

大統領選に絡むポジションの整理がついていないこと、その一方で大統領選に絡むポジションを早くも手仕舞う動きが交錯したことも、市場の動揺が続いている一因だろう。前日に12%の急落となった「ロムニー銘柄」のアルファ・ナチュラル・リソーシズはこの日も3.5%の下げとなった。一方、「オバマケア」を材料に買われたテネットヘルスケアは3.8%安、HCAホールディングスは4.7%安と早くも利益確定売りに押された。ひとつの材料で勝ち組・負け組が分かれるとする。負け組には売りが続く。勝ち組も利益確定売りが出る。短期の材料が出尽した後はどうしても売りが多くなる。

昨日のマーケットでは、ギリシャ支援の遅れやスペイン国債買取が来年にずれ込む観測が嫌気されたとも伝わるが、欧州不安の再燃というのは取ってつけた理由だろう。むしろ企業業績の悪化のほうが相場には重石となったようだ。

百貨店大手のコールズが発表した8-10月期決算は、売上高が3%増の44億9000万ドル、純利益が前年同期比2%増の2億1500万ドルと増収増益を確保、1株利益は0.91ドルと市場予想の0.88ドルを上回った。さらに32億ドルの自社株買い枠の追加設定も発表した。それにもかかわらず、株価は5%もの大幅続落となった。11-1月期の利益見通しのレンジの中心値を2.04ドルとしたため、2.16ドル程度を見込んでいた市場予想に届かなかったことが売りにつながった。

マクドナルドが発表した10月の既存店売上高が9年ぶりに減少したことも市場の重石となった。ドン・トンプソン最高経営責任者(CEO)が「世界的に厳しい事業環境の広がりを反映した結果」とコメントしたように、同社のようなグローバル勝ち組企業でも世界景気減速の影響を免れ得なかったことが投資家心理を萎縮させたようだ。

昨日のレポートでは、シカゴのS&P500ボラティリティ・インデックス(VIX指数)、通称「恐怖指数」の反応が限定的であったことを指摘して、今回の急落はそれほど深刻なものではないと述べた。昨日、米国株式市場は大幅続落となったがVIX指数はむしろ低下した。まったくボラティリティが高まっていない。デリバティブ市場の参加者は、この先株式市場が一段の波乱の展開になるとは予想していないということである。
ダウ平均は年初来安値である6月4日のボトムから、年初来高値をつけた10月5日までの上昇幅に対して半値押しとなった。10月5日から1カ月経ち日柄的にも調整一巡感が出ていい頃だろう。



ギリシャ支援の遅れなど欧州不安再燃は取ってつけたような材料だと述べた。ギリシャ問題など、もはや大きなリスクではない。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、セキュリティ改善のため、新しいデザインのユーロ紙幣を発表した。新ユーロ紙幣には、ギリシャ神話の主神ゼウスに拉致されたフェニキアの王女で、ヨーロッパ大陸の語源となった「エウロパ」の肖像が採用される。ドラギ総裁は、「ユーロの新しい顔として、エウロパより適任の人物がいるだろうか」と述べたという。これでもうギリシャがユーロから放り出されることはなくなったということである。




(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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