ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
週刊・上杉隆

世襲制限導入の見送りに、自民党の限界を見た

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]
【第80回】 2009年6月4日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 自民党はきのう(2日)、世襲制限導入の見送りを決めた。世襲の新人候補の立候補制限は、次の次の総選挙に持ち越されることになった。

 これにより、党内を二分していた論争に、一応の決着がついた格好だ。小泉純一郎元首相の次男・進次郎氏の公認も了承されることになるだろう。

 自民党の党改革実行本部は明日にも、麻生首相に対して答申書を提出する方針だ。ただし、時期を明記していない以上、世襲問題が解決する可能性は小さい。

しょせん世襲議員を多く抱える自民党には、この問題を解決する意思も力もないのである。単なる選挙目当ての論争だといわれても仕方ないだろう。

 これに対して、民主党はこの議論では一歩リードしている。すでに党の内規によって、3親等以内の親族の同一選挙区からの立候補禁止を決めた。さらに、政治資金規正法の改正案を提出し、親族同士の政治資金管理団体の非課税相続の禁止を目指している。

世襲がひ弱な政治家を
量産することこそ問題

 筆者は昨年来、「週刊文春」誌上で世襲批判キャンペーンを行なってきた。その間、世襲の国会議員を主として、さまざまな反論や批判を受けた。ざっと列記しよう。

 「憲法違反だ」、「優秀な世襲議員もいる」、「選挙の苦労はみな同じだ」、「有権者が決めたこと」、「選挙を否定するのか」、「地盤を受け継いでいないので、世襲とは呼ばないでくれ」、「政治家のDNAを引き継ぐのは、意味のあること」、「世襲議員が消えたら、タレント議員しか残らないんだぞ」――。

 最後の反論は反論にもなっていないが、それはそれで面白い。それにしても、どれも社会の常識とズレた、問題の本質から外れた反論だ。世襲議員が、社会の現状を理解できていないというのも確かにうなづける。

 世襲問題の本質は、この種の言い訳に見出すことは難しい。本コラムでも再三してきたが、不公平な世襲によって、ひ弱な政治家を作ること、これが世襲の最大の問題なのだ。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR


おすすめの本
おすすめの本
宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く

「お腹の調子が悪い」と政権を投げ出した安倍首相。「あなたとは違うんです」と逆ギレして職を辞した福田首相。そして漢字と空気が読めず政権崩壊寸前の麻生首相。この国の政治の混迷とメディアの体たらくを上杉隆が斬る。1500円(税込)

話題の記事

上杉 隆 [(株)NO BORDER代表取締役]

株式会社NO BORDER代表取締役。社団法人自由報道協会代表。元ジャーナリスト。1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。テレビ局記者、衆議院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者、フリージャーナリストなどを経て現在に至る。著書に『石原慎太郎「5人の参謀」』 『田中真紀子の恩讐』 『議員秘書という仮面―彼らは何でも知っている』 『田中真紀子の正体』 『小泉の勝利 メディアの敗北』 『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』 『ジャーナリズム崩壊』 『宰相不在―崩壊する政治とメディアを読み解く』 『世襲議員のからくり』 『民主党政権は日本をどう変えるのか』 『政権交代の内幕』 『記者クラブ崩壊 新聞・テレビとの200日戦争』 『暴走検察』 『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』 『上杉隆の40字で答えなさい~きわめて非教科書的な「政治と社会の教科書」~』 『結果を求めない生き方 上杉流脱力仕事術』 『小鳥と柴犬と小沢イチローと』 『永田町奇譚』(共著) 『ウィキリークス以後の日本 自由報道協会(仮)とメディア革命』 『この国の「問題点」続・上杉隆の40字で答えなさい』 『報道災害【原発編】 事実を伝えないメディアの大罪』(共著) 『放課後ゴルフ倶楽部』 『だからテレビに嫌われる』(堀江貴文との共著)  『有事対応コミュニケーション力』(共著) 『国家の恥 一億総洗脳化の真実』 『新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか』 『大手メディアが隠す ニュースにならなかったあぶない真実』


週刊・上杉隆

永田町を震撼させる気鋭の政治ジャーナリスト・上杉隆が政界に鋭く斬りこむ週刊コラム。週刊誌よりもホットで早いスクープ情報は、目が離せない。
2011年12月終了、後継新連載「週刊 上杉隆」はこちら

「週刊・上杉隆」

⇒バックナンバー一覧