一度逃げたら戻らない

  20~40歳まで、地元の消防団に入っていました。その時の「肌感覚」で得た教えが、震災時に活きたと思います。
  どうやら津波が来たなという時に、「必ずこの人を連れて行く」という人をあらかじめ一人決めていたのです。
  それが私の場合、先に述べたおばでした。
  で、それだけ。避難所についたら、もう一度戻ったり津波の様子を見に行ったりはしない。
  同じ時期に一緒に消防団にいた人たちも同じでした。いったん自分の家の確認をしたら、それで終わり。あとで見に行ったりはしません。また、他の人を助けにいったりもしませんでした。必要なものを持って逃げれば、終わり。87歳のおばもそれで助かりました。

  実際、子どもの服を取りに行った人、何回も家に戻った人や他の人を助けようと見回りに出た人が被害に遭いました。
  逃げればいいんです。ただそれだけ。でも実際は、そのことを知らなかった人もいたんだと思います。