と同時に、この出来事が大きすぎて、とても私たちだけで何かを考えることが難しいと感じていて、報告会を行ったり、Twitterブログで発信をするようになりました。また2012年3月くらいからは、被災地の方のお話をまとめた冊子を作成し配布したり、展覧会に作品を出展したりと、少しずつ形にし始めています。

被災地の人は「今」ではなく
「あの時」の町が見たい

  その時々を記録することで、見えてくるものがありました。
  例えば2011年9月には「たくさんの津波の被害の写真が載っている写真集が出版されているけれど、私たちはそれよりも、きれいだった町をもう一度見たい」という声を聞きました。「今は悲しいものより、あの時の町が見たい。この町の人は同じものを失ったから、それがあったってことを忘れないでいれば、またそれを取り戻そうって助け合えるでしょ」。こういう声は、実際にその場所に行かなければ耳にすることはありませんでした。

※編集部注:こうした声が多かったようで、2011年8月に「未来へ伝えたい陸前高田・やっぱり、ここがいい」という写真集が出版、12月に第二弾として「未来へ伝えたい、残したい陸前高田・大船渡」が出版され、陸前高田や大船渡の書店等で販売されています