カンボジア 2012年11月14日

中国での対日感情悪化の影響も
カンボジアで増える日系企業進出

朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、カンボジアに進出する日系企業についてレポート!

日系企業の進出が相次ぐカンボジアが、中国での対日感情悪化でさらに注目を浴びている。進出企業も、製造業だけでなくサービス業など業種が広がり、大手からベンチャーまでさまざまな企業が出てきている。一方で、ミャンマーの民主化、東南アジア諸国連合(ASEAN)の経済統合への動きなど、アジア情勢は激変している。そこで今回、日系企業進出の動きについて、日本貿易振興機構(ジェトロ)プノンペン事務所の道法清隆所長に聞いた。(聞き手・木村文)

2012年は100社を超える日本企業が進出

Q 日系企業のカンボジア進出の状況を教えてください。

――日系企業のカンボジア進出が本格化したのは2011年ごろからです。この「日系進出元年」から、進出企業数は大きく伸びています。商業省に登録した日系の企業、駐在員事務所、有限責任会社、支店は11年は86社、12年は上半期だけで68社に達しており、12年は単年で100社を超える勢いです。ジェトロ・プノンペン事務所への来訪者や相談件数も増加傾向にあり、毎月平均で100人余りが事務所を訪れています。

カンボジア唯一の国際深海港、シアヌークビル港。隣接地に、日本のODAで建設したシアヌークビル経済特別区があり、注目されている=カンボジア・シアヌークビルで【撮影/木村文】

Q 海外進出を考える日系企業にとって、カンボジアの魅力とは何なのでしょう。

――東南アジアでは、民主化が進むミャンマーへの注目度が急速に高まっていますが、実際に進出するとなるとインフラや法制度などの面でまだ準備が整っていないのが実情です。中国やベトナムでのリスク回避、いわゆるプラスワンとして「すぐにでも進出したい」と考える企業にとっては、カンボジアが最有力候補となるようです。

Q 日系企業の投資額はどのぐらいでしょうか。

――日本からカンボジアへの直接投資額は、輸出加工産業など税制面で政府の優遇を受ける「適格投資案件」だけでも、10年の3500万ドルから、11年には7520万ドルに倍増しました。このほか、飲食業金融などサービス業の進出も相次いでいます。投資認可額でみると、建設や不動産への大型投資が多い中国や韓国の額よりも低いのですが、日系投資は認可後きちんと実行されることなどから、カンボジア政府に信頼されています

Q 日系企業はどんな分野に進出していますか。

――日系企業進出の特徴は、投資優遇措置を受けられる経済特別区(工業団地)に集まっていることです。経済特別区への投資額と件数を06年から11年の国別累計でみると、日本は1億7700万ドル(27件)。2位の台湾(6000万ドル、13件)や中国(同、20件)、4位シンガポール(5900万ドル、4件)、5位韓国(5300万ドル、2件)と比べ、突出して多くなっています

 経済特別区への製造業の進出は、カンボジア人の雇用を創出することや、技術移転、裾野産業の創出に寄与することから、カンボジア政府に歓迎されています。また、福利厚生を手厚くするなど「従業員を大切にする」日本的な経営も注目されており、日系投資のメリットが徐々に浸透してきたように見えます。

プノンペン郊外の日系のプノンペン経済特別区。味の素、ミネベアなど日系大手が相次いで進出している=プノンペンで【撮影/木村文】

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