世界的に環境投融資が拡大する中、“縁の下の力持ち”として政府系金融機関の存在感が俄然高まっている。日本では、日本政策金融公庫の国際部門である国際協力銀行(JBIC)がその代表格だろう。今回は、年間2兆円弱の資金供給力を持つJBICの実力と戦略を探った。

 アメリカ発の金融危機は、グローバルな危機管理の課題を浮き彫りにした。各国政府やIMFといった国際機関、さらにはG20といった国際的な枠組みによって、一斉に様々な資金の枠組みが提示されている。人々の恐れ、不信を増幅しないためである。

 短期間に、様々な資金供給の枠組みが提示され、フォローすることも難しいほどだが、これから数ヶ月の間には、スケジュールや具体的な中身が明らかになってくるだろう。

 これらの資金を分類してみると、(1)足下の金融不安を解消するための準備金(リザーブ)制度の積み増し・充実 (2)短期および中期の、有効需要を創出するための財政出動 (3)イノベーションを促し、新たな成長産業・セクターを誘導するための中長期の資金の3つに一応整理できるのではないか。

2年間で5000億円超の
環境・インフラファンド出現!

 本連載で扱うグリーンビジネスには、主に(3)の資金が関連することになろう。日本政策金融公庫の国際部門であるJBIC(日本国際協力銀行)は、5月7日付けで「環境投資事業やインフラ事業等を対象としたファンドへの出資強化に向けて」と題されるプレスリリースを発表した。

 同リリースによると、同行は、5月5日、インドネシア・バリで開催していたアジア開発銀行(Asian Development Bank=ADB)年次総会の機会に、ADBとの間でファンド出資業務における協力関係の強化に向けた覚書を締結した。環境ビジネスの成長センター、アジアで日本と国際、2つの公的金融機関が協力して、金融危機の中、環境やインフラに投資する民間企業を後押しする

 JBICはすでに昨年4月、「JBICアジア・環境ファシリティ(通称:FACE)」を創設している。環境関連プロジェクトやアジアのインフラプロジェクトを出資や保証によって支援しようというのだ。毎年150~200億円規模で行うという。さらに、FACEに加えて、本年3月には、日本政府がJBICを活用した「環境投資支援イニシアティブ(通称:LIFE Initiative)」を表明している。LIFEは、民間資金の動員を図りつつ、アジアを中心とした開発途上国における環境投資事業・インフラ事業などに2年間で5000億円規模超の資金を提供する計画であり、より強力に民間投資を後押しする体制が整った。