株式レポート
11月14日 18時0分
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政権が代われば円安は進むか? - 村上尚己「エコノミックレポート」

昨晩(11月13日)開催した、弊社オンラインセミナー「チャット駆け込み寺」では様々な質問をお客様から頂戴した。日本の政局が動き、年内にも衆議院解散が実現する可能性が今週報じられる中で、「自民党政権誕生で、マーケットは変わるか?円安や日本株高はどこまで進むのか?」などの質問をいくつか頂いた。

いわゆる「第三勢力」と呼ばれる政党の動向を含め、政局情勢はなお流動的な部分が大きい。ただ、野田政権の支持率が極めて低いため、最大野党の自民党が次の政権に大きな影響を及ぼす展開が想定できる。そして、これまでの民主党政権による、経済政策運営が大きく変わる可能性がある。

9月25日レポートで、自民党総裁選に立候補した複数の候補者が、金融政策のあり方について、「目標設定や説明責任が曖昧な問題点」などに言及していることを紹介した。そして、安倍氏が、「日銀の政策は十分とは言えない。みんなに『インフレだ』と思ってもらわなければいけない」と最も踏み込んだ発言を行っていること、を紹介した。

安倍氏は自民党総裁となったが、その後も、日銀が金融緩和強化を行うべきとの考えを表明している。11月7日には「日銀に物価目標を3%に設定させ、達成するまでは無制限に金融緩和を行うよう求める」と言及している。現在の政策枠組みにおいては、日銀が自ら定める「+1%の物価目標(目途)」は曖昧で、行われた政策が妥当かの説明責任は明確ではない。安倍総裁は、この現状に問題がある、という認識を抱いているとみられる。

インフレ率の変動は様々な要因が影響するが、最終的に「モノ(やサービス)とマネー」のバランスで決まる。このため長期的には、マネーの量そして価値に、直接影響を及ぼす唯一の権限を持つ中央銀行の金融政策が大きく左右することは常識である。実際に、米FRBは、デフレに陥ることを防ぎ「物価安定」を守るために、各国を先導する格好で2010年から金融緩和の強化を続けた。そして、各国で金融緩和競争の様相が強まっている。

残念ながら日本においては、脱デフレにつながる十分な金融緩和は実現せず、そして米FRBによる素早く大胆な金融緩和と比べて、後塵を拝してきた。この結果、為替市場で円高が進み、デフレ圧力を強め、経済活動や株式市場の停滞をもたらしている。今なお日本銀行は、「一段の金融緩和強化の弊害が大きい」という認識を繰り返し表明している。

今週になって衆議院の年内解散が現実味を帯びてきたが、この場合2013年に任期を迎える、日銀総裁・副総裁の人事が、次期政権のもとで行われる。そして、金融緩和強化により積極的な人物によって、2013年から金融政策運営が行われる可能性が高まる。

目敏い市場参加者は、このシナリオを意識し始めている。本日(11月14日)日経新聞、「安倍トレード膨らむか」という記事では、「安倍総裁が首相になる展開が視野に入り、長期金利が上昇する」との債券市場の観測が紹介されている。具体的には、政治が変わる局面で「財政規律が失われるとの懸念」が、悪い金利上昇をもたらす側面が強調されている。

ただ、8月8日レポート「政治の迷走と日本売り懸念」などでも述べたが、日本の財政規律を巡る思惑で、「金利だけ」が上昇する局面があってもそれは一時的な動きである。この記事が指摘する、安倍政権誕生で「金融緩和強化+緊縮財政(増税)先送り」となれば、日本の脱デフレが早まるシナリオが浮上する。つまり別の経路で長期金利に上昇圧力がかかり、そうであれば株高や円安も起きる。

さて、こうしたシナリオを察知しているお客様から、昨日のセミナーで冒頭に紹介した「自民党政権誕生で、円安や日本株高はどこまで進むのか?」という質問を頂いたわけだが、それに対して筆者は以下のようにお答えした。「安倍総裁がふさわしいと考える日銀総裁が誕生すれば、今年2月から3月にかけて実現したような、円安そして株高が再現してもおかしくないと思います」(グラフ参照)。





(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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