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中国人のやる気はこうして引き出せ
【第3回】 2012年11月21日
著者・コラム紹介バックナンバー
塙 昭彦 [セブン&アイHLDGS.顧問]

絶対にうまくいかない、と中国人が
語った「大晦日の深夜営業」

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中国も、ビジネスも、常に変化している。十分にわかり、納得できる日は未来永劫やってこないのである。そんななかで新しいアイデアを出し続けるコツは、中国人が言うことも含めて“常識”を疑うことにあるようだ。

 日本の常識を捨てる。成功体験も捨てる。郷に入っては郷に従う。中国人が本当に求めているものを探る……。あくまで私の真意は、次に言うコレです。

 「中国に染まれ。ただし、染まりすぎるな!

 なぜか。染まりすぎてしまっては、新しい発想ができなくなるからです。中国人がこう言っている、だからそうなのだろう、と安易に信じてしまうことも、実はあまりに危険なことです。では、本当にそうなのか。検証もせずに鵜呑みにしてはいけない。それこそ、「染まりすぎるな」なのです。

まずは実践してみて、結果が出なければやめればいい

 何もやらずに評論することは、私にとっては許されないことでした。何事でも、まずは実践してみる。結果は後からついてきます。ついてこなければ、次からやめればいいのです。

 店舗がオープンしてしばらくしたあるとき、中国人と激しい議論になりました。当時は、レストランに行っても、冷たいビールなど、どこにもなかった時代でした。中国人に言わせれば、「漢方4000年の歴史の中で、冷たいものは身体に悪いと決まっている。だから、中国人は夏でも熱いお茶しか飲まない」というのです。

 そう言われれば言われるほど、本当かどうか、試したくなるのが、私の悪い癖でした。それで雪のちらつく寒い日に、「アイスクリームとかき氷の大特売」を実施したのでした。そんなものは絶対に売れない、と中国人は言いました。ところが、何が起こったか。売れた、売れた、アイスクリームは2000個、かき氷は500杯も売れたのです。

 私と議論した中国人はこう言いました。「近頃の中国人も変わったのだ」と。変わったのではないのです。もともと中国には、冷凍冷蔵などという設備も習慣もなかったのです。だから、みんな常温を当たり前と思っていた。冷たいものを飲みたくても、飲めなかったのです。

 もっと言えば、「お前の家は冷蔵庫もないのか」と思われたくなかった。メンツの国ですから。だから、漢方の話にすり替えられてしまった。

 なんでも中国人が言うことが正しいわけではないのです。染まることと、それが本当に正しいことなのかと検証することは別物なのです。中国人の勝手な判断を信じてはいけない。

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塙 昭彦(はなわ・あきひこ) [セブン&アイHLDGS.顧問]

1967年8月イトーヨーカ堂入社、85年取締役オペレーションサポート部長、その後、常務取締役食品事業部長、衣料事業部長などを歴任。1996年に、営業本部2万5000人の頂点に立つ専務取締役営業本部長から、部下のない中国室長に転じた。中国での店舗展開の礎をゼロから築き、現在では13店舗、売上高800億円の規模に成長している。2007年セブン&アイHLDGS.取締役、セブン&アイ・フードシステムズ代表取締役社長、2011年より現職。一貫して営業畑を歩んできたが、同社労働組合を結成したり、女子バレーボール部のオーナー兼部長兼総監督としてチームを廃部寸前から日本一に導くなど、特異な経歴を持つ。オフィスはなわ代表取締役社長、一般財団法人徳育経営研究所理事長を兼務。


中国人のやる気はこうして引き出せ

世界の工場から巨大市場としての存在感を増す中国。多くの日本企業が進出しながらも、慣れない商習慣や中国人社員のマネジメントに苦戦しています。しかも、領土問題を契機とした反日感情の高まりにより、日系企業への逆風は強まるばかり。
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「中国人のやる気はこうして引き出せ」

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