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「引きこもり」するオトナたち

一度レールを外れるとバイトにすら就けない!
高学歴ワーキングプアの抜け出せない苦しい現実

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第128回】

ハローワークで紹介された“ブラック企業”に入社
上司からの厳しい叱責でうつ病に…

 近畿地方に住む30歳代の男性は、新卒時にメーカーから内定をもらった。しかし、研修中に腰を痛め、内定を辞退。そこから“転落人生”が始まったという。

<卒業後、就職活動をする気力もなく、アルバイトを始めました。そこも3ヵ月だけのバイトで、内々に評価はいただいていたのですが、結局、期限満了で退職となりました。

 2年後、外郭団体に契約社員として入社しました。そこでは業務のチームリーダーを任され、自分は“社会から必要とされている”と実感できました。

 あの時代は本当に充実感に溢れ、仕事仲間もでき、自分自身、社会の歯車にガッチリとかみ合っていることが体感できた時期でもありました>

 しかし、その会社には2年ほど在籍した末、契約満了で退職した。

 その後、彼はハローワークに行き、職業訓練校を卒業。その年の暮れ、今度は営業マンとして、ある流通企業に入社した。

 入社したきっかけは、ハローワークだった。突然、自宅に、この会社の求人票が送られてきたのだという。窓口に行くと、こう言われた。

 「ああ、君のような年齢の人をこの会社が求めているんだ。よかったら受けてみるかい?」

 渡りに船とばかりに、彼はすぐに面接を受けて、この会社に入社する。

 ところが、半年ほどでうつ病になり、退職を余儀なくされた。

<原因は上司からの叱責や厳しいノルマでした。私の精神は、ここで完璧に打ち砕かれました。ボロボロになっていた私に、上司は「そんなことでは社会で通用しない。会社を辞めてほしい」と退職勧告をしてきたのです。後でわかったことですが、その会社には過去、労働基準局から何度も注意が来ていたことを知りました。そんな会社の求人を平気で受け付けるハローワークにも腹が立ちました>

 ハローワーク間で、情報共有ができていないという話は、他の経験者からも聞いたことがある。そこでは“ブラック企業”だとわかっていても、隣のハローワークでは募集できてしまう現実が、実際にあるのだ。

<もっと制度を見直し、過去にそういったことがあった会社は、求人を出さないくらいの処置が必要だと思います。精神的に弱い人間は来るなと言われているようで、とても悲しくなりました。精神的に弱い人でも働ける職場があってほしい。私はそう思います>

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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