株式レポート
11月16日 18時0分
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円高修正はいつまで続くか? - 村上尚己「エコノミックレポート」

為替市場で円安が続いている。11月14日レポートで政権交代がドル円に及ぼす影響について採り上げたが、レポート更新直後に、野田首相から16日解散発言が飛び出し、ドル円は80円台まで円安が進んだ(グラフ参照)。昨日(11月15日)も、安倍自民党総裁の「日銀としっかり政策協調し、基本的には2〜3%のインフレ目標を設定し、無制限緩和していく」などの発言が材料となり、円安の流れが続いている。


先のレポートで、「2012年2,3月のような円安が起きてもおかしくない」という考えをお伝えしたが、この2日で、早くもこのシナリオ実現を思わせる円安が起きている。10月23日レポートで、10月中旬までの円安の主たる要因は、米国の金利上昇にあると説明した。今週に入ってから、米債券市場では金利はほとんど動かない中で円安が進んだ。日銀の金融緩和が強化されるとの思惑という日本側の要因で、円安が進むフェーズに変わりつつあるということだ。

これまで日銀の金融政策を巡って、メディアなどで「日銀は既に十分な金融緩和は行っている」などの、もっともらしい解説ばかりが目立った。ただ、10月530日のレポートで述べたが、金融緩和を強化する方法は数多く残っており、だから政治的な要請が高まっているわけである。ここ数日の為替・日本株市場の動きは、「日銀による金融緩和が不十分であり、金融緩和が強化されれば脱デフレの時期が早まる」と、市場が認識していることを示している。

来月の衆議院選挙の後、次期政権の経済政策運営がどのように行われるか流動的な面がある。ただ、自民党総裁の安倍氏が金融緩和強化の必要性を繰り返し言及しており、これまでの日銀の政策が十分ではないという認識を持っていることは明らかである。そして本日(11月16日)、第三極の一角である、みんなの党と維新の会が共通政策として合意した中に、「消費増税の前にやるべきこと」として、「日銀法を改正することで、政府と日銀が物価安定目標に関する政策協定(アコード)を結ぶこと」と報じられている(朝日新聞ネット版)。

これまでの民主党政権で、日銀が掲げる物価目標や説明責任について「曖昧な状態」が続いていた一因として、現在の日銀法に問題があるとの見方が識者の中では広がっている。法改正が実現するかどうかはともかく、政治からの幅広い要請を背景に、日銀の金融政策を抜本的に変える動きが強まりつつある。こうした政治情勢を巡る動きが、当面円安の流れを後押しするだろう。選挙が行われるのはまだ1ヶ月先である。

もちろん、10月26日レポートでも紹介したが、現在のドル円でみて80円前後の水準は「円安」といえず、「円高の領域」にあり今の動きは「円高修正」に過ぎない。このことは、リーマンショック後に、日本だけがデフレと低成長に苦しみ、日本株の停滞が続いていることから明らかである。そして、米国の意向を受けるIMFも「円は割高な通貨」と認定している。

「通貨高の行き過ぎ」が深刻な問題になる現状が、政策の不作為がもたらした弊害であるという認識が広がり、それが解消に向かうとの期待で、現在の「円高修正」が起きている。政策の大転換という大きな動きが背景にあることを軽視すべきではないだろう。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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