衆議院が11月16日に解散された。総選挙は12月4日に公示され、16日に投開票が行われることになった。歴史的な政権交代から3年あまり、民主党の政権運営が国民の審判を受けることになる。

総選挙とは次の首相を選ぶこと

 総選挙の本質的な意義は何か。それは、次の首相を選ぶことであると考える。アメリカの大統領選挙は、国民の一般投票で538人の選挙人を選び、その538人の選挙で大統領が選ばれる。わが国の総選挙は、国民が480人の衆議院議員を選び、その480人の選挙で首相が選ばれる。この点だけに注目すれば、両者に、本質的な違いはそれほどないと言っていい。

 総選挙は、次の首相を選ぶことが根本であって、その意味では、日本維新の会が太陽の党を事実上吸収したことは(政策上の隔たりを棚上げした選挙目当ての野合であるという批判があるにせよ)、基本的にはいいことではないか。何故なら、この合流によって、石原代表という次の首相候補の1人が明確になったからだ。

 様々なメディアの事前予測では、自民党・民主党・維新の3党が、相対的に多くの議席を獲得しそうだという結果が出ている。自民党は安倍総裁、民主党は野田首相と、各々首相候補がはっきりしていたが、維新は誰が首相候補になるのか、曖昧模糊としていた。それが明確になったということは、要するに国民が選びやすくなったということだ。次の総選挙は、メディアの事前予測(≒世論調査)を信頼するのであれば、安倍総裁、野田首相、石原代表の三人の内、誰を次期首相として選択するのか、ということが、実質的な争点となるのではないか。

 ところで、アメリカの大統領選挙の優れた点として、識者が一様に指摘するのは、大統領選挙人を選ぶための一般投票に先立って、全米各州での党員集会・予備選挙から2大政党である民主・共和両党の全国大会まで、長丁場にわたる選挙戦が、原則、公開で行われ、その場で候補者の資質が赤裸々にされることだという。国民は、激しいディベートを中心とする、この長いプロセスを通じて、指導者の資質を見極めることができるという訳だ。