名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇築地本願寺で行われたウィシュマさんのお別れ会(著者提供)

2021年3月6日に、名古屋入国管理局の施設で、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が亡くなった。遺族や支援者が真相解明を求める一方で、ネット上では心ない虚偽の内容も出回っている。一体なぜ、死者が出た事実の背景を知るための行動が、一部から批判されるのだろうか。(フリーライター 小川たまか)

“飢餓状態“のウィシュマさんに
点滴はほどこされなかった

「報告書では、入管施設は幾度もウィシュマさんに病院で治療を受けさせたことが記載されています。入管側もそれなりに努力したのではないでしょうか」

 9月10日、日本記者クラブで行われた記者会見で、新聞記者からこんな質問が上がった。これに対して、指宿昭一弁護士は淡々と、しかしはっきりとこう答えた。

「幾度も?2回しか外部院(*)には見せていません。まずですね、点滴を一度も打っていない。何度も本人や支援者から点滴を打ってくれと、痩せて飢餓状態になっていたから水分と栄養分を補充する必要があった。この肝心のことをやっていない。そのことを全く評価できないと思います」(*外部の病院という意味と思われる)

 指宿弁護士ら遺族代理人や支援者が真相究明を求めているが、明らかになっていない部分は多い。

 8月に公表された最終報告書で初めて、2月15日に行われたウィシュマさんの尿検査数値が「飢餓状態」を示すものであり、それを少なくとも医療関係者のうち一人が確認していたことはわかった。その時点でなぜ救急車が呼ばれなかったのか。救急車が呼ばれたのは亡くなった当日の3月6日で、病院に着いた時点でウィシュマさんの息はすでになかった。