カンボジア 2012年11月21日

議長国カンボジアでのASEAN会合で感じた
ビジネス界から注がれる熱視線と市民意識の差

朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、ASEAN会合「秋の陣」についてレポート!

大きく変化した「ASEAN」の意味

 プノンペンの町に、18カ国の国旗がはためいている。

 11月18日に、議長国カンボジアで始まった東南アジア諸国連合(ASEAN・アセアン)会合「秋の陣」には、ASEANの年間スケジュールの中でも最大級のイベントがひしめく。ASEAN10カ国の首脳会議を皮切りに、ASEANプラスワン(日本、中国、韓国、インドなど)、二国間の首脳会談、そして20日に18カ国が参加する「東アジアサミット」まで、首脳も、大臣も、それを追いかける記者たちも、分刻みのスケジュールで走り回る。

ASEAN会議に参加する国々の旗がひるがえるプノンペンの国際空港=プノンペンで【撮影/木村文】

 ASEANの議長国は、アルファベット順に1年ずつで交代するのが原則だ。カンボジアは2002年についで2度目の議長国。私はそのときの会議をプノンペンで取材したが、今回の主会場となったピースパレス(首相府)の建物など影も形もなく、会議はすべてホテルで行なわれた。

 それから10年、ASEANの持つ意味は、大きく変化したように見える。

 「書名に『ASEAN』ってつけたらダメです、売れないんですよ」。5、6年前のこと、日本のある出版社がこんなことを言っていた。「タイの○○」「ミャンマーの××」などと、個別の国名を使えば、一定の読者層はいるのだそうだ。しかし、「ASEANの○○」となった途端に、読者の関心は薄れてしまう――それが、当時の日本人のASEANに対する認識だった。

 今はどうだろう。たった5、6年のことだが、ビジネス界を中心にASEAN情報のニーズは高まってきているように感じる。カンボジアを拠点に記者活動を始めて4年近くになるが、原稿を執筆するとき、カンボジア一カ国のことだけでなく、東南アジアを面としてとらえた視点を求められることが多くなった。

 国際協力銀行の2011年の調べによると、日本企業(製造業)が「有望な事業展開先」として挙げたのは、(1)中国(2)インド(3)タイ(4)ベトナム(5)ブラジル、インドネシア。カンボジアは16位、ミャンマーは19位につけており、いずれも20位以下だった前年より順位を上げた。この調査は、タイのほぼ全土を襲った洪水より前に実施されたものであること、その後日本と中国の間で尖閣諸島問題が起きていることなどから考えると、カンボジアやミャンマーへの移転先としての期待度は一層高まっているだろう。


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