ニーズは一つに絞らない

 同じウエットスーツでも、用途によってニーズは全然違う。

 もちろん、それぞれのニーズに合わせていろんな商品を作るのもありかもしれないけど、ウチはやらない。そうではなくて、全部のニーズをいっぺんに満たせるものを作る。プロのトライアスロンの選手も、海女さんも、素人のダイバーも、みーんなが満足できるようにする。その場合、特徴は1つじゃなくて、最低2つ、3つ、できれば4つ、5つあるといい。というのも、どの特徴がどのニーズにマッチするかわからないから。

 いろんなニーズを取り込めば、それだけいろんな評価をもらえるようになる。

 「温かいほうがいい」というニーズだけに応えてたら、評価は「○、×、△」くらいしかない。でも、もっと複雑な特徴を持った商品だったら、実際の値段は1000円でも「1500円の価値があった」「3000円の価値があった」から「10万円の価値があった」まで、評価の幅はグンと広がっていく。これなら、満足度300%だって実現できないことじゃない。

 ウチの会社では、毎日平均15、16回、年間で5000回を超える商品の無料セミナーを全国各地で開いてる。中小企業にとってはすごい負担になるとんでもない数のセミナーをこなしているのも、やっぱり、いくつもある商品の特徴をよーくわかってもらって「顧客満足度300%」まで持っていきたいから。

 「専門家=プロ」は、どうしても一つの機能だけに絞り込んで、「その機能を気に入ってくれた人だけが買ってくれたらいい」と考えてしまいがち。だけど、「この商品のポイントは速く泳げることです」なんて言い切っちゃうとマズい。だって、速く泳ぎたいと思っていない人は最初から興味を持たないし、着てくれても特徴をわかってもらえないかもしれない。すると、たとえピカイチの商品でも顧客満足度は下がってしまうんだな。

 顧客満足度というのは、よく使われる言葉だけど、こうして考えてみると結構複雑。ただ上げればいいわけじゃない。「顧客」とは何か?「満足度」とは何か?「上がる」とはどういうことか?逆に「下がる」とはどういうことか?顧客満足度が上がった下がったと一喜一憂するんじゃなくて、自分の頭でちゃんと考えないと、いつまで経っても100%のなかで勝負することになっちゃうよ。

 次回最終回(11月30日)はウチの支える人材の「鉄則」を紹介する。


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