虐待写真はイメージです Photo:PXITA

最近ではテレビでも取り上げられるようになったネット発の言葉「親ガチャ」。どんな親の元に生まれるかによって当然ではあるが子どもの人生は変わる。それをゲームの「コンプガチャ」(ゲーム内で使用するアイテムをくじ引きのような仕組みで当てること)に唱えた言葉だが、ワイドショーのコメンテーターらが「親になってから親のありがたみがわかった」などと、ありきたりな説教をする場面も見られる。「親ガチャ」という言葉に秘められた個々人の悲哀は、成功した芸能人・知識人には届いていないようにもみえる。(フリーライター ヒオカ)

「親ガチャ」を訴えるのは単なるわがままなのか?

 ワイドショーやネットニュースで「親ガチャ」のニュースを見るたび、もどかしい思いに駆られる。

 たとえば、9月9日放送の『バラいろダンディ』(TOKYO MX)では、タレントやアナウンサーらが「嫌な言葉ですね。親ガチャってワードがまず嫌だな。親はショックだよね」「親ガチャとか言っている学生たちは、自分が親になったときに後悔すると思う」などというようなコメントをしたという。

 9月16日放送の『スッキリ』(日本テレビ系)では、こちらも司会やタレントが親がどうこうではなく「結局は自分次第」という論調でまとめた。

 ワイドショーでこの問題は、前提が共有されておらず、議論が宙に浮いているように思えた。そして、この議論の前提にされない、可視化されない人たちのことを、どうしても伝えたくなった。