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11月21日 18時0分
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円高修正が続く理由〜市場は将来を予想して動く〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

円安が続いている。昨日(11月20日)の日銀の政策決定会合では、政策判断には変更がなかった。先週半ばから日銀による金融緩和強化への期待が強まる中で、市場の一部では、日銀が従来どおりの金融緩和に躊躇する姿勢をみせるため、円安の流れが一服するとの懸念もあった。

実際に、日銀は政策変更を行わなかった。また、白川日銀総裁は、記者会見において、安倍総裁など自民党が提唱している物価目標設定に対して自論を展開するなど、従来からのスタンスが変わらないことが示された。一部の市場参加者の目論見どおりの展開が訪れたかに見えたが、ドル円の反応は限定的でやや円高に動いただけだった(グラフ参照)。


そして、昨日の海外時間になってから円安ドル高に転じ、本日(11月21日)の東京時間に入っても、円安の流れは止まらない。市場の関心は、次期政権において、来年総裁・副総裁が交代し日本銀行の金融政策が変わるかどうかである。それと直接関係がなく、結局デフレを放置したままの現体制の日銀の発言や姿勢は、もはや大きな材料にはならないということだろう。

11月19日レポートなどで、今後日銀による金融緩和強化につながる具体的な政策として、「日銀法改正によって、政府と物価目標を持つこと」を、最大野党である自民党が提唱していることを紹介した。現行体制では「物価の安定を図る」という理念しかないため、日銀が目指すべき経済状況が非常に曖昧だが、明確に物価目標が法律で定められれば、成果を出すために、これまでよりも金融緩和を強化するようになるためである。

このレポートなどに対して、いくつかフィードバックを頂いている。例えば「名目金利がゼロにある中で、これ以上金融緩和を強化してもデフレ脱却に効果ないのではないか」などである。こういう見方に立つと、「金融緩和期待を背景にした、現在の円安は長続きしない」という相場観につながるだろう。

メディアでも度々見られるもっともらしい見方だが、貨幣を唯一創造することができる中央銀行のバランスシート拡大、つまり金融緩和を続けることが判明すると何が起こるか?それが続くと市場や人々が認識すれば、いずれかのタイミングでインフレ率が上昇するという予想を抱くようになる。

そうすると、経済活動に影響する実質金利(=名目金利-予想インフレ率)が低下するため、企業が借金をして設備投資を行うインセンティブが強まる。6月20日レポートでは、デフレが経済活動を抑制するメカニズムとして、「デットデフレーション」を通じて、企業などの「実質的債務負担」が高まることが経済活動を抑制することを紹介した。この経済活動を抑制するメカニズムが和らぐ過程で、実質金利が低下し企業や家計の投資を促すわけである。

そして、資産市場では株式などのリスク資産の上昇が起きて、資産効果が経済活動を刺激する。こうした経路で、金融緩和の強化が脱デフレを促す効果は存在する。実際に、安倍総裁の発言などで、株高と円安が大きく進んでいるのは、市場がこのシナリオ実現を想定しているからである。数年に一度の政策の大転換が起こりうることが、現在の市場の動きの背景にあることを軽視するべきではない。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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