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新司法試験制度の「理想と現実」

週刊ダイヤモンド編集部
2007年10月18日
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法科大学院修了者を対象とする新司法試験の合格率は、当初想定されてた水準を大幅に下回った。文部科学省が設置認可を乱発した大学院の一部では定員割れも起きている。司法制度改革の「理想と現実」の落差を浮き彫りにした。

 司法制度改革の理想が早くも一頓挫しようとしている。法科大学院修了者を対象とする新司法試験の合格状況。第2回となる今回の試験から初めて法学未修者(法科大学院では3年制、既修者は2年制も選択可)が受験するとあって、注目を集めていた。

 結果は、合格者数1851人、合格率は40.2%。3年制修了者に限れば32.3%にとどまった。旧司法試験の合格率がおおむね3%程度だったことを考慮に入れれば、確かに門戸は広がったとはいえる。しかし、今回の新司法試験に挑んだ3年制修了者については、そもそも「合格率は70%程度になる」というのが入学時の公式見解だったのだ。70%と32%。理想と現実の落差は、覆うべくもない。

 合格者は、相変わらず都市部の有名校に偏在している。100人以上の合格者を出した法科大学院は、東京大学、慶應義塾大学、中央大学、京都大学、早稲田大学の5校。この5校で合格者全体の40%以上を占めており、合格率も50%台から60%台半ばと平均を大きく上回っている。

 裏を返せば、今回受験した68校の法科大学院の大半は、平均を大きく下回っているということでもある。たとえば、久留米大学と姫路獨協大学の合格者は1人。合格率は、それぞれ3%、5%にすぎない。合格率が20%を切っている法科大学院は15校。ほぼ4校に1校の惨状で、そのほとんどが地方校や中堅校だ。

 なかには、受験者数を大幅に絞り込み、合格率だけは全国平均を超えて体裁を保った中堅私立大学すらある。本末転倒としか言いようがない。

「定員割れ」続出で底辺校は存続の危機

 法科大学院の新設、その修了者を対象にした新司法試験を軸とする司法制度改革には、大きく2つの背景がある。

 第1に、大手予備校による受験テクニックの弊害。「一発勝負の旧司法試験にパスするための技術だけを詰め込まれるため、現実の訴訟ではまったく使い物にならない弁護士が増えてきた」(大手法律事務所所属の中堅弁護士)。司法試験合格後に義務づけられる司法修習を修了できない者も急増しているというから、深刻だ。

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