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第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

女たちとの代理戦争に惨敗…。
二枚舌上司に「汚れ役」にされた男性社員

――上司と女性社員の狭間で自滅した東條氏のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第3回】 2008年12月15日
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 「自分は悪者にはなりなくない」「問題が起きれば、部下のせい」――こうしたエゴイストな上司にほんろうされる部下がいる。得てして、まじめな性格で、人を疑うことを知らないタイプである。しかし、そういうタイプが抱える内なる苦しみは、周りからなかなか理解されることはない。

 今回は、上司の利己的な思惑を見抜くことができずに、女たちとのいわば「代理戦争」をさせられた男性社員を紹介する。彼が「負け組」となった理由とは――。

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■今回の主人公
東條幸夫(仮名、33歳男性)
勤務先:中堅の教材販売会社。従業員数250人。創業は終戦直後と古く、安定成長を長く続けてきた。しかし、90年代前半に赤字に転落以降、勢いを失う。社長は変わり続け、社内遊泳術に長けた管理職が、必要以上に力をもつことになる。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています。)

「3バカ女」の
扱いをめぐって

 喫煙室は、2人だけになった。企画室室長の結城(49歳)が、東條に話しかける。

 「君は、ストレートすぎるんだよ」

 東條は、口にくわえていたタバコを握りしめて答える。

 「いや、ですけど……あの人の仕事はひどすぎます」

 「小泉がさっそく俺のところに来たぞ。君の物言いが厳しい、と不満たらたらだ」

 「不満?」

 「あいつは自由が丘育ちで、お嬢さまだから、わがままなんだ。もっとうまく接してやってくれよ」

 「いかんせん、彼女たちの仕事のレベルが低いのです」

 結城はタバコを吸いながら、話し続ける。

 「あのレベルの女たちならば、もっと簡単にコントロールできないと、君は課長補佐になれないぞ」
 
 東條は感情的な物言いで、反論した。

 「じゃあ室長はなぜ、彼女たちに直接、言わないんですか?」

 結城が、答える。

 「室長の俺が言えば、角が立つだろう。あいつらをうまく動かしてくれよ。あの職場で頼りになるのは、君しかいないんだから」

 「……」

 「小泉は結婚して、さっそく産気づいている。近いうちに、休ませてくれと言ってくるよ。伊藤は弱音ばかり吐いていて、ナイーブ過ぎる。もはや、戦力外だ。大山は情緒不安定。あれじゃ、“3バカ女”だ」

 東條は、早く話を終えたいと思った。結城は、職場の女には何も言わない。彼女たちには一切、注意指導をすることなく、「心優しい上司」を演じている。しかし裏では、女のことを小ばかにしている。女たちに何か言いたいときは、部下である自分に代弁させるのである。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

会社から冷遇され、気がつくと「負け組」となってしまった人たちを毎回取材。彼らの実体験を振り返ることで、企業の冷酷さだけでなく、自己防衛できなかった敗因を分析。第2次リストラ時代で生き残る術を探る。

「第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由」

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