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11月27日 18時0分
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報道されない首相の発言とアベノミクス - 村上尚己「エコノミックレポート」

野田首相と安倍自民党総裁による11月25日(日)のテレビ番組の討論における、金融政策についての議論が話題になっている。以下は、テレビ朝日のホームページからの抜粋である。

野田総理大臣:「安倍さんのおっしゃっていることは極めて危険です。なぜなら、インフレで喜ぶのは誰かです。株を持っている人、土地を持っている人は良いですよ。一般の庶民には関係ありません。それは国民にとって大変、迷惑な話だと私は思います」
自民党・安倍総裁:「びっくりしましたね。税収も名目経済が上がらなければ、税収は上がらない。そのことが総理には基本的に分かっていなかったということが驚きですね」



筆者も正直驚いた。野田首相の発言を素直に受け取れば、政府はデフレ脱却を目指しているが、首相は心の中ではそう考えていないのだろうか?デフレから脱却すると、他国のようにマイルドなインフレ経済に戻らず、なぜインフレ率の上昇がとまらない事態になる、とお考えなのか?デフレで苦しんでいるのは、職探しに困っている若年世代ではないのか?

そして、より興味深いことがある。野田首相のこの発言は、筆者が愛読している日経新聞では採り上げられていない。以下のように、テレビ討論における首相の発言については、「口先介入で一定の効果があったと満足するのはあまりいい姿ではない。発言は少しずつぶれているが、どちらにしても危ない考えだ」と、首相が安倍総裁を批判したことだけが、小さい記事で紹介されているのみである。

野田首相が、最大野党の安倍総裁が唱える金融緩和策を批判し議論を深めることは、今後の妥当な政策運営を考えるために大事である。そして、重要なことは、どのような考えで金融政策を運営するかということである。野田首相の発言を踏まえると、「デフレから抜け出しても、資産家しか恩恵を受けない」とお考えだから、安倍総裁の考えを批判していることになる。日経新聞が、野田首相のこの考えを紙面で紹介しない理由について、想像することはできるが、敢えて述べるのは控えておこう。

それはともかく、海外の投資家は、日本で盛り上がっている金融政策を巡る議論をどうみているのか。ゴールドマン・サックス・アセットマネジメントのジム・オニール氏が、”We Want Abe!” というレターを書いたことが、市場では話題になっている。ジム・オニール氏は前職における筆者の上司だが、安倍総裁が3%のインフレ目標に言及したことを評価。安倍氏の政策(アベノミクス)が、大幅な円安(実際には円高修正に過ぎないが)のきっかけになる可能性に言及している。

オニール氏の為替予想が当たるかどうかは、正直何とも言えない。ただ、金融緩和の強化によるデフレ脱却の成功は、行き過ぎた円高の修正に繋がるというのはロジカルである。こうした見方は、海外の投資家を中心に為替市場ではかなり一般的だが、オニール氏の発言でより強まるかもしれない。「日本経済の正常化にそれが必要なこと」と多くの投資家がそう認識しているからだ。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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