ベトナム 2012年11月28日

ベトナムではお金は常にお役所への一方通行?
仕事はノーギャラで、さらに上納金まで!

日本で15年間の編集者生活を送った後、ベトナムに渡って起業した中安記者が、ベトナムでお役所とビジネスする際の注意点についてレポートします。

お役所関連の仕事の打診。光栄な話だと思って出向いたら

 私がベトナムに来てまだ日が浅い頃、9年近く前になるだろうか、ある政府系機関から「折り入ってお願いしたい仕事がある」と連絡を頂いたことがある。相談の内容は、同機関と関連のある国営出版社が出している雑誌の日本語版を創刊したい、というものだった。雑誌の名前を教えてもらったが、私は聞いたことがなく、本屋さんに行っても見当たらない。どんな雑誌なのか、予備知識がないまま指定された日時に、先方にお伺いした。

 出て来られた編集長さんは、年の頃50代前後だろうか、白いシャツにグレーのズボンという地味な出で立ちで、実直そのものといった印象。彼が差し出した雑誌を手に取ってみると……、一言でいうと「イケてない雑誌」だった。お堅いデザイン、かなり質の悪い用紙、そして20年前の雑誌かと思ってしまうような寝ぼけた色の印刷。おそらく関連省庁の中だけで配布されている機関誌のようなものだろう。これの日本語版を出しても、誰も読まないだろうに。

 編集長さんから条件を聞いて、私はもう一度驚いた。「編集費も印刷費もすべて御社持ち。御社で広告営業をして、それで賄って欲しい」というのである。

 さらに、「ウチのような格式のある雑誌の広告営業をするのだから、そちらの努力次第ではいい商売になると思う。なので、ブランド名の使用料金を毎月上納して欲しい」。

 もちろん、とても飲めない話である。しかし角が立たないようにお断りしなければならない。

 「このような雑誌の日本語版の制作にご指名頂けるのは光栄なことですが、弊社は小さくて、今の仕事を回すので精一杯なのです。そこで提案なのですが、貴誌の内容の一部を日本語に翻訳して、弊社が出している雑誌の中に掲載させて頂くというのはどうでしょう? もちろん翻訳代や掲載料などは無料で結構です」と逆提案をした。

町の中にある雑誌の広告。ベトナムは識字率が高く、読書好きの国民だと言っていいだろう。広告マーケットはまだまだ伸びると見られており、「コスモポリタン」「エル」など外国の雑誌も進出してきている【撮影/中安昭人】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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