緊急事態宣言中の銀座緊急事態宣言中の東京・銀座 Photo:PIXTA

長引くコロナ禍において、本社を首都圏外に移転する企業数が、1990年以降で最多となる可能性が高まっている。従来、本社移転は経費節減などの理由が大きく、そのため景気回復後には、再び本社を首都圏に戻す傾向があった。だが、コロナ収束後も企業の脱・首都圏の流れは定着する可能性が高い。(帝国データバンク情報部 丸山昌吾)

オンライン会議などの浸透が
企業の移転を後押し

 日本で初めて新型コロナの感染が確認されてからもうすぐ2年を迎える。国内では2回目のワクチン接種を終えた人が7割を超えたとされ、足元では新規感染者の数も低水準が続いている。依然として第6波の到来を懸念する声は多く、新型コロナの収束には遠い状況といえるが、一方でアフターコロナ、ウィズコロナ下での企業活動にも注目が高まっている。

 新型コロナでは、3密を避けるための行動パターンが一定程度浸透し、ソーシャルディスタンスの浸透やネット通販、内食・中食の需要創出といった具合に、私たち一般消費者の行動は大きく変わった。一方で、企業活動も新型コロナによって大きな変化が生じたり、これまで緩やかに変化してきたものが一気に加速したりした面もある。