EC膨張 アマゾン・楽天・ヤフー 物流抗争#3

日本でも物流の王国を築くアマゾンジャパン。2017年に表面化した宅配クライシスをきっかけに乗り出した「ラストワンマイルの自前配送網」が完成に近づきつつある。楽天グループが自前配送網の構築を投げ出す一方で、アマゾンはデリバリープロバイダと呼ばれる中小運送会社の組織化を着々と進めてきたのだ。だが、順風満帆に見えるアマゾンですら、ラストワンマイルの末端では「闇」を抱えている。特集『EC膨張 アマゾン・楽天・ヤフー 物流抗争』(全5回)の#3では、運送業界にはびこる“病巣の正体”に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令ニ)

大口委託先との泥沼の対立と
物流部門ナンバー2退任の謎

「アマゾンジャパンにとっての最大のタブー」

 物流関係者がそうささやくのが、2020年秋に表面化した大阪府の中堅運送会社との対立だ。

 アマゾンジャパンは、電子商取引(EC)サイトの荷物の自社配送網を構築するため、地域に密着した中小運送会社を「デリバリープロバイダ」と名付けて組織化し、配送業務を委託している。

 そのアマゾンが20年10月ごろ、デリバリープロバイダの“筆頭格”だったT.M.G(大阪府茨木市)との契約を突如として解除した。

 物流関係者によると「T.M.Gはアマゾンから年間100億円規模の仕事を請け負っていた大口の委託先」である。契約解除によって多くのドライバーが仕事を失ったT.M.Gは、アマゾンの提訴に踏み切ったという。

 この対立とともに表面化したのが、アマゾンの物流部門のナンバー2で、副社長だった鹿妻明弘氏の退任だ。鹿妻氏はアマゾンの自社配送網を構築したキーマンで、T.M.Gをデリバリープロバイダの筆頭格に押し上げた人物とされる。

 なぜ、アマゾンはT.M.Gを切り捨てたのか。そして重要委託先に育てたキーマンが会社を去らなければならなかったのか――。以降では、物流の王者・アマゾンが抱える「ラストワンマイルの闇」に切り込む。