「持続的な成長に向けた知財活動の戦略立案」に注力

 欧・米・中には駐在員を置いている。スタッフ総数は約90人(ちなみに知財の係争そのものは、別の知的財産渉外部が担っている)。製作所や研究所にも知財部門が設けられており、センターの方針を受けて知財に関する年度方針や中期計画の策定にあたっている。そのスタッフは総勢300人にのぼる。

 また、センターの段取りにより執行役会議をはじめとする各種の知財関連会議が重層的に設けられており、トップ層の知財戦略への理解を深める仕掛けが整っている。

知財を軸に事業競争力を評価して強化プロジェクトを立ち上げる

 興味深いのは、「持続的な成長に向けた知財活動の戦略立案」に注力していることだ。知財面での強みと弱みを軸にした独自の事業競争力の評価手法を開発。他社に比べて強い事業は蓄積された知財を活かしてさらに強くし、横並びや同質競争からの離脱を図る。一方、他社に比べて強くない事業は、保有している知財の中から事業を強くする知財を発掘したり他社と連携したりしていく。

 評価結果に基づき、「知財による事業強化プロジェクト」が常に7つほど推進されている。特定の事業であったり、特定の製品テーマであったりとさまざまだが、1プロジェクトに2~3年の時間をかけている。そうした目利きと実行決断はセンターが担っている。

 池島センター長は、「知的財産センターは、事業の水先案内人になれと訴えています。他社の状況を把握して良質な特許であれば先だって権利を確保したり、海外進出では事業部門が煩わしい係争などに気を取られずに全力で事業に取り組めるような環境をつくる。当然、特許を取得するかブラックボックスのノウハウとするかの判断も、私たちが主体的に担っていきます」と語る。

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