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金融緩和強化で足並みを揃える3野党 - 村上尚己「エコノミックレポート」

来月の衆議院選挙を前に、今週主要政党の政権公約が出揃いつつある。2013年の日本経済を左右する経済政策に絞って、各政党の政策を一覧表でまとめた。なお、11月26〜28日に行われた日経新聞の世論調査における、投票したい政党の割合は、自民23%、維新の会15%、民主13%、未来の党5%、みんなの党4%となっている。


年内総選挙が決まった11月14日以降円高修正と株高が起きているが、自民党安倍総裁が強力な金融緩和政策を求める発言を繰り返したからである。11月27日レポートで紹介した通り、海外投資家も注目しているが、自民党の公約でも「日銀法改正を視野に明確な物価目標(+2%)設定」が掲げられた。

同じく、日銀法改正と物価目標設定を公約に挙げているのが、維新とみんなの党である。維新は「日銀法改正を通じて政府と日銀の役割を明確化」と記しており、英国のように「物価目標は政府が決め、中央銀行が目標実現のために独自の判断で政策を行う」という役割を分担する体制が念頭にあると思われる。みんなの党は、物価安定と雇用の安定の責任を負う協定を政府と結ぶとしている。米国では、「物価安定と雇用の最大化」の中央銀行の責任が法律で明記されているが、それを理想としているようだ。

つまり、米英などを手本に、金融政策の目標と責任を明確に定める仕組みを整える点で、現状高い支持率を保っている3野党ともほぼ足並みが揃っている。民主党政権下では、日銀の金融緩和策が妥当かどうかの検証すらされず、そして、デフレから抜け出す気配は一向にない。ただ、2013年の新政権下では、脱デフレにつながる日銀による強力な金融緩和策が実現するとみられる。

そして、金融緩和強化による脱デフレを重視する3野党は、「3%以上」の名目経済成長を目標にしている(みんなの党は4%)。一方民主党も、名目経済成長率3%を掲げているが、2014年の消費増税導入の参考基準になっている数字がそのまま採用された格好である。そして、この目標については「2020年までの平均で」とハードルが曖昧である。つまり、2013年に経済が回復しなくても消費増税を優先させる、というわけだ。増税実現を最優先とする民主党と一線を画し、野党3党とも、まずは名目経済拡大を最優先に掲げ、日銀法改正を含めた金融緩和強化を軸に成長を実現する政策を重視しているわけである。

一方、3野党の間で異なるのは、公共投資に対する姿勢である。自民党の政権公約をみると、公共投資の数字は明らかではないが、「国土強靭化策を長期的発展の呼び水にする」としている。防災・災害関連の公共投資拡大で、成長底上げを図るとの考えが念頭にある。デフレが続く中で一定の財政支出の後押しは必要だが、かつての自民党政権は1990年代半ばまで公共投資を増やし、それは地方の既得権益への所得分配の面が非常に大きく、弊害も大きかった。将来、同じ過ちを繰り返さないか懸念される。

一方、維新の会、みんなの党は、公共投資拡大による財政政策に一線を画しているが、短期的な経済安定化のために財政支出を増やすのか、減らすのか曖昧である。

消費増税など税制、所得分配策においては、日本未来の党とみんなの党が、消費増税凍結を掲げている。みんなの党は、年金保険料の上限引き上げ(保険料負担上昇)という所得分配策を提唱している。未来の党は、年間31.2万円の子ども手当を経済政策の目玉に据えるという。2009年に、民主党政権が導入した、子ども手当を復活させるということだろう。

そして、維新の会は、消費税率を11%に引き上げ「地方税化」する制度改革を掲げている(特別相続税創設も公約に含まれている)。これは、国と地方政府の間での税金を移転する仕組みについて、制度を抜本的に変えるプランで長期的に望ましい政策かもしれない。ただ、短期的な経済安定化を果たさずに制度改革を性急に進めても、それは頓挫するリスクがある。

いずれにしても、所得分配、税制改正、社会保障制度見直しなどの必要な制度改革も、マクロ経済安定化策をしっかりと行い、名目経済のパイが増えるという「当たり前の経済状況」をまず整えなければ、いずれは政治的に行き詰ってしまう。こうした現実を、ようやく多くの政治家が認識しつつあることは大きな変化だと思われる。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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