エコースタッフの数は、現在約8000名にのぼる(2012年9月現在)。会社を定年退職した人も結構いて、最近は特に希望者が多いという。

  エコースタッフは、『旅の友』の記事を話題にして会話ができて楽しいことに加えて、お小遣いも貯まる。貯まったお小遣いはどうするかというと、結局、クラブツーリズムの旅行に行くのだ。

  さらに、エコースタッフ同士で仲間になり、貯まったお金で一緒に旅行に出かけることも多い。その際はわざわざ他社商品に乗り換えることはなく、クラブツーリズムの商品で出かける。実によくできた仕組みである。しかも、本人たちは非常に楽しんでいるし、満足している。

  退職後に収入が年金だけでは心細いし、ちょっと楽しいことをやって、お小遣いをもらえて、また楽しいことができる。こういう生活バランスをシニアの皆さんは求めている。だから、傍観者の顧客ではなくて自分が当事者のスタッフになると消費が発生する。そういう意味で、私はこうした消費を「当事者消費」と呼んでいる。

  企業が顧客に事業に関与する機会を提供すると、顧客に当事者意識が高まるとともに、経済的余裕も生まれるために消費が促されるのだ。このような事業への関与を通じた「当事者消費」は、今後のシニア消費を促す重要な形態の1つになるだろう。

人は心身ともに元気になると、消費意欲が湧く

 中高年が多い女性専用フィットネス「カーブス」では、主に筋力トレーニングと有酸素運動、ストレッチを行なっている。クラブに通う皆さんは、しばらく継続するとすっきり痩せて、元気になる。そうすると、まず運動着以外の服を買うようになる。痩せてスタイルがよくなるからだ。私自身もそうだが、太っていたのが、痩せると本当にうれしいものだ。

  さらに、同じ店舗に通っている仲間と一緒に旅行に行くようにもなる。全国のカーブスの店舗では、いま旅行が花盛りだ。一度仲間と旅行に行くと、店舗の雰囲気が格段に明るくなり、運営もしやすくなるという。このように人は心身ともに元気になって健康になると、病気になりにくくなるので医療コストや介護コストが下がる。それだけではなく、消費意欲が湧いて消費も増えるので、経済活性化に貢献するのだ。カーブスの全国50万人の会員がみんな元気になって、消費が増えれば、それなりのインパクトになる。

  日本ではフィットネスクラブに通っている人は全人口の3%程度。残りの97%はこうした場所に通っていない。カーブスだけでなく、すべてのフィットネスクラブにもっと多くの人が通って筋力トレーニングと有酸素運動に励むようになれば、もっと大きな規模で医療コストや介護コストが下がり、経済活性化につながるはずだ。