株式レポート
12月3日 18時0分
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円安株高は続くか〜デフレの本質と関係ない議論に騙されるな〜 - 村上尚己「エコノミックレポート」

11月14日の野田首相による年内解散発言から、円高修正と株高の流れが続いている(グラフ参照)。次期政権において、より強力で実効性が高い日銀による金融緩和策で、デフレ脱却の時期が早まるとの期待が浮上したためである。これ以外にも海外の不安要因が和らぎが加わり、11月26日レポートでも述べたが、株式市場ではしばらく「意外高」が続くと見ている。


これまで日本の金融緩和策について、いくつかのレポートで解説したが、以下のようなフィードバックを頂戴した。「単純に通貨を増やして薄めるような手法には感心しません」。金融緩和策の本質は、マネー(通貨)の価値や金利を低下させ、経済を安定させることである。どこの国でも行う「マネーの価値を薄める」ことに対して、何となく嫌悪感を抱く方は多いようだ。

こうした見方が根強いことには、いくつか理由が考えられる。筆者が愛読している日経新聞でも、例えば、「金融緩和よりも、経済の体質を改善させる政策が必要」などの意見が紹介されることが非常に多い。これに、強く賛同する人ほど、金融緩和に否定的である。

ただ、この「経済の体質」というフレーズだが、具体的に何を意味するのか明確ではない。そして「体質改善」が、どのようなメカニズムでデフレを和らげるのかはっきりしない。実際には、「経済の体質」というと、各人が想定する「経済問題」を想起させるため、多くの人に受け入れられ易い、のだろう。このように「デフレの本質」から離れた、的外れな政策が繰り返されてきたことが、デフレが20年近く続いている一つの理由である。

「更なる金融緩和は必要ない」という見方が、これまで非常に多かった国内の議論も、最近、さすがにバランスが保たれるようになっている。一方、リーマンショック後に日本よりも大胆な金融緩和策を行っていきた英米のメディアでは、日本銀行に金融緩和を求める自民党など野党3党の政策に賛意を示す見解が多い。

例えば、11月29日英フィナンシャルタイムズ紙社説、「安倍元首相は大胆な新思考を訴えている。政府がインフレ目標を設定し目標達成の責任を負わせたいとしている。日銀が協力しない場合には日銀法を改正するとも発言。中央銀行の独立をないがしろにするのかと非難されているが、彼の姿勢は高い評価に値する」

12月1日英エコノミスト誌「中央銀行の目標設定は政治家の仕事。日銀が高めのインフレ目標を持つべき、との安倍氏の議論は合理的である。中央銀行がインフレ率か名目GDPを目標にすべきかの決定は、政治家によって行われるべきで、中央銀行だけで決めるべきではない」

日本のメディアでも、標準的な経済学的知見に基づいた建設的な議論が活発になることが、脱デフレそして資産市場の復活につながる。まだまだ不十分だが、そうした兆しが少しずつ増えている。




(チーフ・エコノミスト 村上尚己)

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(マネックス証券)


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