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日本の小型、割安&モメンタム - 広木隆「ストラテジーレポート」

投資家は割安な株を探している。単にPBRなどの株価指標が低いだけでは「割安」とは言えない。PBRが低いもののなかには(あるいは、その多くは)業績や財務内容がぼろぼろで、売られるべくして売られた、「安かろう悪かろう」という銘柄もあるからだ。

真に割安というのは、ファンダメンタルズは良いのに、株価が安値に放置されている銘柄を指す。ところが、そんな「おいしい話」は人目につくところに転がっているはずがない。多くの投資家がウォッチしている主力大型株のマーケットに、真の割安株への投資機会は、そうそう残されてはいない。株式市場全体でみれば、非効率性 - アルファを挙げられる余地 - は残されているものの、大型株に限れば、市場はかなり効率的である。

逆に言えば、小型株のマーケットには非効率性が残されている。時価総額が小さく流動性の観点から機関投資家の投資対象になりにくい。よってアナリストのカバレッジも少ない。銘柄数が多いのでカバーしきれないという面もある。知名度が低いことも見過ごされやすい理由のひとつだ。そういう市場にこそ、過小評価されている「真の割安銘柄」が埋もれている可能性はある。

ところが割安株投資は、その過小評価が見直されてこそ初めて陽の目を見るのであって、見過ごされたままでは万年割安株のまま、バリュートラップから抜け出せない。だからこそ、モメンタムの出ている銘柄、株価に勢いがついてきた銘柄を狙うのである。モメンタムがついてきたというのは、割安修正が始まった可能性があるからだ。

アルファを得る銘柄選択の方法は、「小型 + 割安 + モメンタム」。これが前回11月28日付レポート「勝てる!銘柄の選び方」で述べたことの要旨である。理論的な背景などは、そちらのレポートを参照していただきたい。今回はその観点から日本の小型株で割安&モメンタムがついてきた銘柄をピックアップした。アナリストによるカバレッジがないためQuickコンセンサスがないものも多いが、あるものはすべて会社側予想を上回る(ケネディクスだけはコンセンサス並み)。












実は日本株式市場におけるファーマ=フレンチ3ファクターモデルの実証例はあるものの、Carhartの4ファクターモデルの実証例は見たことがない。なぜなら日本株は「モメンタム」の効果が確認できず、むしろ反対に「リターン・リバーサル」が効くというのが定説だからだ。但し、前回のレポートでも触れたように、クロスセクション分析をして市場横断的に効果のあるファクターを探そうということは、われわれの目的ではない。市場全体の傾向はどうでもよいのだ。バリュートラップに陥らないためにモメンタムの出てきた銘柄投資するというのは直感的にも賛同を得られるのではないかと考える。
最後に2つ、変則的なセレクションを挙げる。それは小型&割安で、やっとモメンタムが出てきたのにもかかわらず、増資のニュースによって断ち切られたパターンである。アップル関連銘柄としても有名なフォスター電機(6794)と化粧品・日用品の卸・中間物流業のPaltac(8283)だ。特にPaltacは11月22日に13%の急落をした後も下げが止まらない。公募増資の発表が急落の原因だが、希薄化率12%を超える下げは行き過ぎだろう。 同社は高品質・ローコストの物流機能を確保するために全国に大型物流センターを建設してきた。今回の増資もその設備投資の資金調達のためである。設備投資なくして成長はない。兎にも角にもファイナンスはだめだというのは株式市場の機能が正常に機能しているとは言い難い。早晩、元の上昇トレンドに戻るだろう。それまで注意深くモニターを続けたい銘柄である。





物流施設というのは隠れた投資のテーマである。従前から推奨銘柄に挙げている産業ファンド投資法人(3249)は物流施設などインフラに投資するREITである。右肩上がりの株価上昇が止まらず連日、高値を更新している。これだけ一本調子に高値追いが続いても、まだ分配金利回りが4%を超えているという驚くべき銘柄である。全国投資セミナーのたびに言及してきたが今年いちばん当たった銘柄であり、テーマである。

先日、大和ハウス工業(1925)も今後2〜3年で約600億円を投じ、全国の大都市近郊に大型物流施設を6〜7カ所建設するとの報道があった。インターネット通販の利用者が増え、通販各社が即日配送など速さを競っているため消費地に近い施設の賃貸需要が高いのである。アマゾン・ドット・コムや楽天クラスになると物流施設を自前で確保するために一棟買いならぬ数棟買いをするぐらいである。三菱地所や三井不動産も物流施設事業に本格参入し、ネット通販を巡る競争が不動産・建設業界でも激しくなっている。特定の企業向けではなく、複数の企業が同時に利用できる物流施設を建設する動きもある。食品やアパレルのチェーンが大都市近郊に商品の保管・発送場所を集約する動きも広がっている。Paltacの行う公募増資の資金使途は正しい方向性にあると評価するゆえんである。






(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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