嵐の二宮和也、相葉雅紀、松本 潤、大野 智、櫻井 翔「嵐ブランド」は、なぜここまでの大成功を収めたのか Photo:VCG /gettyimages

レビュー

 グループとしての活動を休止している今も、テレビなどでメンバーを目にしない日はない。2020年12月31日に行われた活動休止前のラストコンサートは、オンライン配信の形をとったことで、本来の会場のキャパシティの何十倍ものファンが参加した。逆境を力に変え、最後まで「ファンファースト」を貫いたその姿は、ファン以外にも強い印象を残した――言わずと知れた超人気アイドルグループ「嵐」の話である。周りを見渡せば、家族に、職場に、友人に、一人は嵐のファンがいるだろう。どのファンも、ものすごい熱量で嵐を支持している。

『「嵐」に学ぶマーケティングの本質』書影『「嵐」に学ぶマーケティングの本質』 射場 瞬著 日経BP刊 1870円(税込)

 本書『「嵐」に学ぶマーケティングの本質』はブランドやブランディング、マーケティングという視点から「嵐」を分析する一冊だ。どこまで意図的に行われていたかは不明だが、結果的に嵐はマーケティング理論的にも「正解」の方法でファンの心をつかみ、「嵐ブランド」を確立していた。商品やブランドを任されているビジネスパーソンからすれば、これだけ継続的にロイヤルティーの高い顧客を集め続けている「嵐ブランド」は憧れの的だろう。本書は「嵐ブランド」がなぜここまでの大成功を収めたのか、理論をもとに分析していく。

 自身も嵐のファンであるという著者の文章は、嵐への愛にあふれており、読んでいて楽しい。だから嵐のことをよく知らないビジネスパーソンにも、ぜひ安心して本書を手に取ってほしいと思う。嵐のブランディングとマーケティングは工夫に満ちており、学ぶべきことばかりだとわかるだろう。(千葉佳奈美)