インフレ高進の欧米とは別世界、日本企業はなぜ価格転嫁できなくなったのか「疑似庶民感覚から政策が決別できないと、経済の閉塞を助長するだけ」 Photo: Reuters/AFLO

 米国の10月の消費者物価上昇率(食料とエネルギーを含む総合)は+6.2%(前年同月比)となった。欧州でもユーロ圏の同物価上昇率は+4.1%である。それに対して日本の消費者物価上昇率は+0.1%にとどまり、依然として日本だけ低インフレが問題となっている。

 米国のインフレ高進については、前回の「米国がスタグフレーションになるって本当ですか」(2021年11月11日掲載)で取り上げた通り、筆者は来年第3~第4四半期までには鎮静化すると判断しているが、欧米諸国でインフレ高進が問題となる状況下で、ひとり日本のみが低インフレにとどまっている特異な状況を今回改めて考えてみよう。

日本でも企業物価指数は目立って上昇

 低インフレが慢性化したような日本でも欧米並みに上がっている物価指数がある。それは企業間で売買される商品価格を対象にした企業物価指数だ。10月の上昇率は前年同月比8.0%の上昇だ。これは同種の米国の物価指数である生産者物価指数の同上昇率12.5%ほどではないが、目立って上昇している。

 もちろん、この企業物価上昇の主因は国際商品価格の高騰による輸入物価の上昇だ。10月の輸入物価指数は、円ベースで38.0%(前年同月比)、契約通貨ベースで同31.4%も上がっている。

 そこでデータが利用できる1980年までさかのぼって、日本の消費者物価指数の前年同月比(%)と企業物価指数の同変化率との格差(=消費者物価上昇率-企業物価上昇率)(以下「物価指数ギャップ」と記す)の推移を示したのが図表1である。

 黄色の棒グラフ(右メモリ)で示したのが物価指数ギャップであり、プラスは消費者物価が企業物価以上に上昇している局面、マイナスは逆に企業物価の上昇率が消費者物価のそれを上回っている局面だ。