カンボジア 2012年12月4日

100万人が訪れる世界遺産のすぐ隣にある貧困
観光産業の光と影

朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住、現地のフリーペーパー編集長を務めた木村文記者が、観光地として人気のアンコール遺跡群と隣接する村の現状についてレポート。

大人気の世界遺産、アンコール遺跡群

 カンボジアの観光業を支える「ドル箱」、北西部シェムリアップ州にあるアンコール遺跡群が、順調に訪問観光客数を伸ばしている。アンコールワット、アンコールトムなどの有名寺院を抱える遺跡群は、なみいる世界遺産の中でも、常に「行ってみたい世界遺産」ランキングの上位に挙がる壮大で華麗な建造物だ。シェムリアップの中心部は小ぢんまりとした街だが、それでも五ツ星の高級ホテルが並び建ち、乾季の観光シーズンを迎えるこれからはますます華やかさを増す。

 シェムリアップ州観光当局によれば、ここには2012年1月から8月までの8カ月で少なくとも100万人の外国人観光客が訪れた。シェムリアップ空港にこの期間、降り立った外国人は約136万5000人。前年同期の104万8000人より約3割も増えていて、「このうち少なくとも85%が遺跡群を訪れている」というのが、当局の見立てだ。

 最も多いのは、国境を接する隣国ベトナム、企業進出もめざましい韓国や中国からの観光客。順位は多少入れ替わるが、日本人観光客は、だいたいその3カ国の次点につけている。それだけでなく、国境にあるもう一つの世界遺産「プレアビヒア」をめぐり武力衝突まで発生したタイとの関係が改善されてからは、タイ人観光客が急増している。

 また、経済力を増してきたラオスからも多くが訪れるようになった。シェムリアップだけでなくカンボジア全土の統計になるが、タイ、ラオスから同国を訪れた人の数は、2012年上半期でそれぞれ9万2000人、10万7000人。どちらも前年同期の2倍近い人が訪れている。

 この国際的な観光地に隣接する村に、栄養不良の子どもたちがいて、中学校すらないことを、私は昨年まで知らなかった。

チア・ノルさん(左)と小出陽子さん夫妻=シェムリアップ州のアンコール・クラウ村で【撮影/木村文】

 教えてくれたのは、シェムリアップ在住のカンボジア人、チア・ノルさん(46)と、小出陽子さん(46)夫妻。チアさんは、カンボジアのNGO「アンコール遺跡の保全と周辺地域の持続的発展のための人材養成支援機構(JST)」の代表を務め、陽子さんらとともに、日本の遺跡修復チームが活躍する「アンコールトム」遺跡の隣接地に広がるアンコール・クラウ村の支援を続けている。

 JSTの始まりは、チアさんがたった一人で始めた活動だった。


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