前回から、中国国家統計局のサイトで経済成長率などのマクロデータを収集することについて説明している。

英語と中国語を使い分ける

 前回の最後に触れたように、国家統計局のサイトには、英語ページがある。多くの日本人にとっては、中国語を読むより英語を読むほうが楽だ。そして、多くの統計表は、中国語版と同じものが英語版で提供されている。したがって、無理して中国語で読もうとせず、英語のページを開いてしまうほうが簡単な場合が多い。

 また、Press Releaseのセクションでは文章を読む必要があるので、英語ページのほうが圧倒的に便利だ(注1)。

 ただし、つぎの2点について注意する必要がある。

 第1に、中国語のページに対応する英語ページがない場合もある。

 第2は、地名は、日本人にとっては、英語で読むより中国語で読むほうが分かりやすいことだ。例えば、英語でSichuanとかHubeiと書いてあってもすぐには分からないが、四川や湖北と書いてあれば分かる。だから、地域別の統計を見るときは、英語より中国語のほうが便利である。

 もっとも、地名については、さらにつぎの点に注意する必要がある。それは、地名を漢字だけで読んでいると、発音が分からないことだ。これは、何かと不便である。例えば、湖北を日本流に「コホク」と言っても、中国人には伝わらないだろう。また、英語の文献でHubeiと書いてあっても、どこのことなのか分からない(注2)。したがって、地名については、中国語での発音を知っている必要がある。地名の英語表記は中国語の発音にほぼ忠実なので、英語との対応がついていればよい。この対応を、文末に図表3として示した。また、地図上の位置を図表4で示す。

(注1)一般に中国のサイトで英語版が用意されていない場合、グーグルなどの検索エンジンでの検索結果で、「このページを訳す」機能を用いて日本語に翻訳することも考えられる。これである程度の見当はつくものの、実用にはならない場合が多い。

(注2)同じことが、人名についても言える。日本人は中国人や韓国人の中国語読み、韓国語読みを知らないので、しばしば不便だ。私は英語の文献に出てくる中国人が誰のことか分からなくて、苦労したことがある。インターネットの検索で調べても、有名な人なら分かるが、そうでないと、漢字での表記がどうしても分からない。

「習近平の中国語読み(シー・ジンピン)を知らない国民が大部分」というのは、多分世界中で日本だけの特殊事情だろう。日本人と中国人は、「筆談で意思疎通したり印刷物を読んだりすることは、準備なしで(ある程度は)できるが、口語のコミュニケーションはできない」という不思議な関係にあるわけだ。