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流行語大賞にスギちゃんの「ワイルドだろぉ」
はやり廃りと、いぶし銀

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第13回】 2012年12月10日
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 今年で二十九回目を迎えたらしい。ユーキャン新語・流行語大賞である。

 二〇一二年の流行語大賞には、スギちゃんという芸人さんがネタで使う“ワイルドだろぉ”が選ばれたんだぜぇ。

 流行語大賞というのは、言うなればその年にもっとも認知された言葉、あるいは多くの人の口の端にのぼった言葉でもあるわけで、ワイルドだろぉ、は私でも知っていたくらいだから、大賞にふさわしいのかもしれない。よかったな、スギちゃん。

 訊けば、相当な苦労人らしい。かつてはメカドックというコンビを組んでいたとのことだが、コンビを解消してピン芸人になった。ピンはポルトガル語で数字の1を指し、カルタやカステラと一緒に日本に入ってきた言葉だ。

 だから、賭場では賽の目の1をピンと言う。芸能界でもひとりで活動する芸人さんを指してピン芸人と呼ぶようになった。麻雀のレートはピンで数えるし、お寿司屋さんでも一人前の握りをピンと呼ぶらしいから、もともとはギョーカイの方々が使っていた隠語だ。

 最近は一般の人もオチやスベる、ピン芸人という言葉を当たり前のように使う時代になってきて、ギョーカイ人でもないくせにギョーカイ用語を使う人たちが私にはちょっと滑稽に見えるのだが、これも言葉の広がりと考えていいのだろう。

 ピンになってからのスギちゃんは、鳴かず飛ばずだった。さまざまな芸風を試し、ようやくたどり着いたキャラが、肩口から袖を破り取ってノースリーブにしたGジャンと短パン、裸足姿で、ワイルドだろぉを連発するいまのスタイルだ。

 「コーラの1.5リットルのペットボトルを買って、開けたらすぐに蓋を棄ててやったぜ……、ワイルドだろぉ?」

 確か、こんなネタをやっていたような気がする。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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