ベトナム 2012年12月10日

「給料は払えないかもしれないけど」と誘われてやってきた10年前
”1日の生活費100円”で始まったベトナム生活

日本で15年間の編集者生活を送った後、ベトナムに渡って起業した中安記者が、ベトナムに移住したばかりの頃のことについてレポートします。

「事業を黒字化してくれたら給料を払いますよ」という条件にのってしまった!

 「給料が払えるかどうかは分からないのですが、ベトナムまで働きに来てくれませんか」
 今でも忘れはしない。私がベトナム初の日本語月刊誌「ベトナムスケッチ」の編集長として誘われたときの条件はこれだった。

 「この事業はずっと赤字なのでお金がないのです。あなたが頑張って事業の立て直しをしてくれて、利益が出るようになったら、そのときには給料を出しますから」とのこと。「スケッチ」自体は創刊号(当時は「サイゴンスケッチ」という名前だった)から知っていたし、「ベトナムで最初の日本語雑誌を自分の手で創刊できたらな」と思っていたので、「スケッチ」の創刊号を見たときは悔しかった。

 ベトナムみたいに日本人に人気のある国で、唯一の日本語媒体を発行していて、黒字にならないほうが不思議だった。結婚2年目、日本で一緒に暮らしていたベトナム人の妻に「こんな話があるんだけど」と相談すると、「ベトナムだったら私も仕事ができるから、あなたの収入がゼロでも大丈夫」と言う。私は何のためらいもなく、その誘いを承諾した。

 お誘いを頂いてから約半年後、ベトナムの地へ。日本を離れる際に妻と話し合って、「ベトナムでは、日本にあるお金には手をつけずに生活をしよう」と決めていた。ただ「スケッチ」からの給料はアテにできないので、何か収入源を確保する必要がある。日本でやっていた仕事の大部分は整理したが、いくつかの雑誌に持たせてもらっていた連載は、ベトナムでも継続することが可能だ。月5万円くらいの収入は見込めるだろう。これが生活費の原資になる。住まいは、妻の実家に居候させてもらうことにしていたので、それだけあればやっていけるだろう。

 ベトナムに渡った初日の夜、妻が生活にかかる経費を計算し、「あなたのお小遣いは1か月50万VND(ベトナム・ドン)ね」とお金を渡してくれた。50万VNDは当時の通貨レートで計算すると日本円で4000円少々。1日100円余になる。ちょっと心細い金額だが、「どこまで節約できるか、ゲームのつもりで挑戦してみよう」と考えた。

私が来たとき「ベトナムスケッチ」の編集部はこの建物の2階にあった。フランス統治時代からある歴史的な建築物で、それだけにインフラは脆弱。電気や水がとまったり天井が落ちてきたり、いろんなトラブルが絶えなかった。今は1階がブックカフェ、2階が学生会館になっている【撮影/中安昭人】

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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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