連載第15回は、労働条件があまりにも過酷なことから「残酷物語」として紹介されることも多い、漫画家アシスタントを取り上げよう。10年のキャリアがありながらも、年収は150万円以下のアシスタントもザラだという。ある女性アシスタントが見た漫画家の世界とは……?

 あなたは、生き残ることができるか?


今回のシュリンク業界――漫画家アシスタント

 今回は、漫画家を扱った連載第1回にて紹介した業界リサーチを再掲することで、代えさせていただきたい。

 出版業界の市場規模は約1兆8000億円(出版科学研究所調べ)。インターネットの普及、紙媒体離れなどにより、市場は縮小傾向にある。社員数が数十人の小規模・零細企業が多いのが特徴。『出版年鑑2010』(出版ニュース社)によると、全国に約3900社ある出版社の中で、従業員数が10人以下の会社は全体の半数を超える。

 漫画ビジネスは、落ち込みが激しいジャンルの1つ。全国出版協会の調査によると、コミック誌の推定販売額(取次ルート)は13年連続のマイナスとなっている。読者の志向の多様化、購入の不定期化により、「売れ線」が見極めづらくなったため、競争が激化している。

 連載第1回で紹介した通り、漫画家も生存競争は激しいが、それを支えるアシスタントも厳しい。長時間労働であるわりには、収入が少なく、雇用は不安定。しかも、努力すれば一人前の漫画家として独立できるという保証はない。たとえなれたとしても、構造不況のなかで仕事がなくなり、他の漫画家のアシスタントに逆戻りするケースもあるという。