測量ミスで立ち木が除去されず、開港が延期となった静岡空港。あまりのオソマツさに日本中が仰天したが、県は滑走路を短縮させる奇策に出た。新たな開港日が3ヵ月後に迫り、“今度こそ”との空気が広がるが、県が打ち出した不平等支援策に次なる波紋が生まれている。

 「大手航空会社の役員が『富士山静岡空港は大化けする』と言っていると聞きました。私もそう考えていますが、一気にはいきません。上昇気流に乗るまでが大事です」

 静岡県の石川嘉延知事は上機嫌でこう挨拶した。2月28日に静岡空港で開かれたリージョナル航空会社フジドリームエアラインズ(FDA)お披露目の式典でのことだ。3ヵ月後に迫った開港(6月4日予定)を前に、高揚感がテント内を覆っていた。

 立ち木問題で開港延期を発表した直後に開かれた昨年11月のエアポートフェスタは土砂降りとなり、お通夜のような雰囲気だったが、今回は天気にも恵まれ、空港周辺の視界は良好。すったもんだが続いた静岡空港もいよいよテークオフである。

 静岡空港に開設される就航路線は国内外6社による8路線。航空各社がローカル路線を相次いで縮小・廃止しているなか、健闘しているといえる。地域の経済力や特性、エアポートセールスの成果と見られる。

 静岡はクルマ中心の地域で、富裕な住民も多い。新幹線などの交通アクセスに恵まれ、空は未開拓のマーケットである。飛行機に乗ったことがない県民も多いという。それだけに「潜在需要はある」と、期待に胸躍らせる声もある。しかし、あくまでも潜在需要。大化けするか否かは一種の賭けだ。

空席分を税金で補填
苦肉の策「搭乗率保証」

 ところで、ごたごた続きの静岡空港は揉め事との縁が切れないようだ。今回はある制度の導入をめぐり、県議会からも異論が出た。