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かなり高額なのにエリート管理職が続々参加!
超未来志向の大学
「シンギュラリティー・ユニバーシティー」とは

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第224回】 2012年12月13日
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2029年、コンピュータが人類を超える!?
超未来を見据えたSUの真の目的とは

 SUが目的としているのは、「エクスポネンシャル(幾何級数的に)に進歩するテクノロジーを理解し、それを人類の大きなチャレンジのために使おうとする次世代のリーダーたちを集めて教育し、インスパイアする場となる」ことである。

 そのため、SUではかなり未来的な話題が講演や議論の中心になる。不死身の人体、遺伝子を個々人がハックするような時代の到来、ロボットのコストが下がって住宅のシステムの中にロボットが統合されるような近未来などなど。

 「シンギュラリティー」というのは、コンピュータと人類の知能が拮抗する、あるいはコンピュータが人類を超えてしまう状態のことで、カーツワイルはそれが2029年くらいに起こると予測している。未来学者として、数々の予想を的中してきた彼は、テクノロジーは線上に少しずつ進歩していくのではなく、あるところに来ると爆発的に変貌して進化を遂げると、以前から説いている。

 SUも、そうしたことが起こった時に人や社会はどうなるのかを予想しつつ、そこへ向かってビジョンを形成し、また実際のテクノロジー開発を推進する。企業のエグゼクティブにとっては、20年、30年先の未来社会の行方を知ることは指針を得るのに不可欠だし、また超未来的な開発に意欲を持つ大学院生も、先達らの考えに触れ、志を同じくする仲間を見つけることができる。SUが「シリコンバレー流のMBA」と呼ばれているのも、そんな理由だ。講師陣には、遺伝子研究のクレイグ・ヴェンター、自律運転自動車を開発したセバスチャン・トゥルン、インターネットの父と呼ばれるヴィント・サーフなどが登場する。

 SUをサポートしているのは、グーグル、オートディスク、ジェネンティックなど。SUの本部やコースは、NASAの協力により、シリコンバレーにあるNASAエームズセンター内に設けられている。SUからは実際にいくつかのスタートアップが生まれ、ロボティックスやゲノミックスなどの分野で、新しいビジョンを開発している。

 シリコンバレーの企業はそのテクノロジーで未来を築いているが、さらにその先の超未来をSUは見据えている。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

ビジネスモデルの破壊者たち

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