連載第2回では、新司法制度を契機に誕生した“新人類弁護士”の動向と司法サービスの広がり、弁護士急増の陰で問題となっている質の低下について取り上げる。

業界に新しい風を取り込みたい!
司法制度改革の狙いと現実

「弁護士は、もはや普通の職業になったんだよ」

 都内で事務所を開くベテラン弁護士は、しみじみと語る。

 実際、第1回の記事でも書いたように、毎月数万円の弁護士会費さえ払えないために、“法曹無職人”になっている司法修習修了生が増えている。弁護士は安定した仕事でなくなってきているが、それは利用者にとって法曹サービスが身近になったことも意味している。

 弁護士を取り巻く環境変化の背景にあるのが、司法制度改革だ。裁判員制度に象徴されるように、司法の世界へ一般人の参加を促す一方、欧米に比べて圧倒的に少ない法曹資格者を増やして法曹サービスを充実する。社会経験が豊富な人材を法曹分野に取り込んで弁護士業界に新しい風を取り込み、法曹サービスの新しい形も模索する……。これが司法制度改革の狙いだった。

 新制度により法曹資格者の数は、劇的に増えている。

司法制度改革の光と影<br />「新人類弁護士」の台頭と質の低下

 第1期生となった2006年度(新60期生)には1055人が合格した。旧制度による合格者数との合計では、前年を1000人上回る2464人。以後も、毎年2000人前後が合格している(図参照)。

 これにより、2005年には2万1205人だった弁護士は、6年後の2011年には44%増の3万518人にまで急増。ちなみに検察官や裁判官も2005年に比べて200~400人、10数%増えている。