製薬王者「武田薬品」ブランド崩壊!自画自賛キャンペーンと凶報続きの開発品Photo:Diamond

「武田ブランド」が、いま、音を立てて崩れている。開闢240周年を自画自賛する企業ブランディングキャンペーンを、年も押し詰まった昨年12月より慌ただしく展開し出したことが、彼らの「焦り」の度を如実に物語ろう。しかも、「世界に尽くせ、タケダ。」というキャンペーンコピーの文言を何度読み返しても、誰が、誰に当てたメッセージなのかがはっきりせず、心に刺さらない。広告代理店にいくら払ったのか知らないが、何とも無駄遣いなことである。

 もっとも、武田は目下、これとは比べものにならないほどの無駄遣いを行っている。語るまでもなく、社長CEОクリストフ・ウェバー氏への役員報酬だ。世界が新型コロナウイルスのパンデミックに苦しんだ2020年。ウェバー氏に役員報酬として18億7400万円を支払った。業績連動型株式報酬9億円、譲渡制限付き株式報酬が3億7900万円、基本報酬が2億4600万円、賞与が2億4700万円という内訳だそうだ。

 国民の安全・安心を担う製薬業界の国内最大手を率いる最高責任者として、社会の「切なる求め」にきちんと応えたのなら、破格の年収であってもまだ許せる。しかし実際は、昨春早々にシャイアーの技術を活用したコロナ治療薬の共同開発に失敗。コロナワクチン開発に関しては技術面を中心に手も足も出せなかったにもかかわらず、米ファイザーを除けばほとんどのメガファーマもモノにできなかったではないかと、株主総会の場で開き直った。

 一応、米ノババックスと提携して国内製造したワクチンの供給を、承認が取れ次第、今年から始める予定でいるが、市場には「コミナティ」や「スパイクバックス」など先行しているワクチンが3つもある。いまさら加わっても、流通並びに接種の現場に余計な煩雑さを加えるだけで、売れないだろう。結局、ウェバー氏はパンデミックという、ヘルスケアセクターにとっては最大の商機を活かせなかったということになる。