2008年のリーマンショック以降、価格下落が続いていた不動産相場。直近では「景気底入れ感」が強まっているものの、見通しはまだ不明瞭な部分も多い。

 現在「住活」中の人たちにとって、一生のうちで最も高価な買い物の1つである住まいを、少しでも好条件で購入したいと思うのは当然のこと。物件価格の大幅下落が伝えられる今こそが買い時なのか、それとももう少し待つべきなのか――。

 連載第1回目は、誰もが迷う「買い時」の判断を徹底検証してみたいと思う。

 同じ住宅購入でも、購入した時期の社会情勢によって、最終的に支払う住居費に大きな違いが出るのはご存知の通り。今のように先行きが不透明な経済環境だからこそ、この違いは無視できない。

 住まいを購入することを考えている場合、これから先の住まいに支払う金額(総住居費用)に影響してくるのが、「物件価格」「住宅ローンに関わる金利」「住宅購入を後押しする国の住宅政策」の3つだ。

 3つのポイントを基準に住宅事情を見てみると、値ごろ感、買い時感を客観的に判断することができる。ここでは、この3つのポイントに沿って、現在、そして数年後の住宅事情を分析してみたいと思う。

物件価格の変動で
総住居費用はこれだけ変わる!

 まず第一に、「物件価格」に注目して買い時を考えてみよう。下の表Aは、現在3500万円で売り出されている物件を今買った場合、3年後に物件価格が変動しなかった場合、3年後に物件価格が変動した場合について、現時点から向こう40年間にかかる総住居費用を比較したものだ。