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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

大変動を経験した中国住宅価格

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第5回】 2012年12月13日
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 中国の不動産投資と住宅価格は、経済危機後、大きな変動を経験した。中国経済の動向を理解するためにも、不動産投資と住宅価格のデータを把握しておく必要がある。

大きな変動を経験した住宅価格

 経済危機後、現在にいたる期間を、つぎの3つに分けて考えることができる。

(1)住宅価格の高騰(2008、09年)

 経済危機に対応するため、中国政府は、2008年後半から巨額の景気刺激策を実施した。不動産に関しては、住宅取引関連税の税率引き下げまたは免除、住宅ローン金利の引き下げ、2戸目住宅購入規制の緩和などを実施した。このため、不動産業の投資が大幅に増えた。また、4兆元経済対策の効果もあり、不動産価格が高騰した。この時期には、投機目的での購入もかなり増加したと考えられる。

(2)住宅価格の下落(2010、11年)

 ところが、住宅価格がバブルの様相を見せてきたため、中国政府は、価格抑制のため、2010年に入ってから抑制策を打ち出した。投機性の強い住宅購入に対する融資条件の厳格化をはかり、2戸目住宅購入規制を強化した。また、金融引き締めを行なった。

 この結果、北京市、上海市、深圳市などでは、住宅価格が下落した。11年11月、上海市で住宅価格が2−3割下落し、高値で購入したオーナーが開発業者に抗議する動きに発展した。北京市や深圳市などでも、一部の物件で3割の下落率を記録した。価格下落は、中都市にも波及した。

(3)不動産市場の回復(2012年)

 2012年になって、経済成長率の落ち込みが明らかになったことから再び緩和策が行なわれ、住宅価格は回復したと見られる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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中国語ができなくても大丈夫 野口悠紀雄の中国経済統計「超」読解法

多くの日本企業が中国関連事業を将来の事業計画の中核に据えている。したがって、中国に関する情報の入手はこれからのビジネスマンにとって重要な課題だ。本連載では、中国語ができなくても、中国語で中国の情報を収集するノウハウを提供する。 

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