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豪ラジオ局のいたずらでイギリスの看護師が自殺
事の善し悪しがわからないマスコミって何?

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第14回】 2012年12月14日
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 オーストラリアのラジオ局がばかげたいたずらをしたのは、英国キャサリン妃の懐妊が報じられた直後だった。王妃の懐妊は、今年六月のエリザベス女王即位六〇周年に続く慶事でもある。夏には静養先でのトップレス写真が報じられたりもしたが。

 キャサリン妃は、つわりがひどいためロンドン市内の病院に入院した。それが今月三日。まだ妊娠三ヵ月にも満たないが、王室は公表を早めたのだという。お腹の子が男の子なら、チャールズ皇太子、ウィリアム王子に次いで第三位の王位継承権を持つ。

 このおめでたムードに水を差したのが、オーストラリアのラジオ局だった。

 オーストラリアのラジオ局は、州ごとに局番がつけられていて、1がついていたらキャンベラ、2ならばシドニー、3だったらメルボルンといった具合で、局番でどこのラジオ局かわかるようになっている。今回、大騒動を引き起こしたラジオ局は『2DayFM』とあるから、シドニーのラジオ局になる。

 そこでパーソナリティを務める男女二人が、自分たちの番組でいたずらを敢行した。男はチャールズ皇太子になりすまし、女はエリザベス女王になりすまして、キャサリン妃が入院する病院に電話をかけ、容態を聞き出したのである。

 報道によると、女性パーソナリティのメグ・グレイブがエリザベス女王を騙り、

 「わたしの孫娘と話させておくれ」

 と取り次ぎを求めた。応対した看護師が電話をつなごうとすると、司会のマイケル・クリスチェンは、本当につないでるよ、と笑い転げた。担当看護師が電話に出ると、二人はここでも平然となりすましを続けた。

 「キャサリンのことが気になったの。お腹の具合はどう?」
 「いまはお休みになっておられます。体調は安定していますが、運び込まれたときはひどい脱水症状でした」

 このときのやり取りを録音したものが、番組で放送された。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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