これで調査に与えられた4日間が終ってしまうということだ。もともと、一般調査では帳簿の表面を眺めるだけの薄っぺらな調査しかできないのが現状だ。読者のみなさんの中にも「重箱の隅をつつくような調査が行われている」という実感がある人がいるのでは無いだろうか。

特別調査部門では、調査日数が100日を超えることもある

 これに対して特別調査部門では、一件につき平均10日の調査日数が与えられている。取引先への反面調査(取引相手に内容の確認に行く調査)や銀行調査を考慮して、一般調査の倍以上の日数が与えられている。こうした深度の深い調査を行うことによって、課税の不公平の解消を目指しているのだ。

 特別調査部門では、故意に税負担を免れている人に対して一歩も引かない覚悟で調査を行っており、時に調査日数が100日を超える場合もある。申告納税制度の維持のためには「正直者がバカを見る」社会であってはならない。

 もう少し特別調査部門について説明しておこう。

 個人課税部門、法人課税部門の中で、調査の花形部門が特別調査部門だ。個人、法人部門で所掌事務は若干ちがっているが、設置の主目的は、税務署全体の調査の士気を上げ、調査技法の先端技術の開発や困難事案の遂行をすることだ。

 しかし、税務署内の案内表示を見ても、「特別調査部門」という文字はどこにもない。調査部門の中の一つの部門として、若しくは、調査部門の中に班として存在している。また、すべての税務署に配置されているわけではない。

 東京国税局管内では、点在する有名な繁華街を所轄する税務署はもちろん、タブロイド版の夕刊紙に紹介されるピンクゾーンを所轄する税務署にも配置されている。別名ピンク担当と呼ばれ、特定繁華街の掌握が主任務となる。