気がつけば、2008年も残すところひと月あまり。お歳暮の手配、年賀状書きなど、年末の恒例行事が気にかかっている人も少なくないだろう。

 お歳暮も年賀状も、言ってみれば伝統的でアナログな季節行事であり、一見、イマドキのデジタル世代には縁が薄そうだが、どうも、そうでもなくなりそうだ。

 アナログとデジタルを繋ぐツールと言えば――そう、それは「ケイタイ」だ。

 まずは、お歳暮。ケイタイのメールアドレスだけでギフトが贈れるサービスが登場した。提供するのは、ソフトバンクギフト株式会社。同社は、ソフトバンクモバイルとセブン・イレブン・ジャパンの協力のもと、ソフトバンク3G携帯電話を対象に、専用ギフトサイトをオープンした。

 同サイト内の「プチギフト」を利用すると、相手先のメールアドレスに通知するだけで、ギフトを贈ることができる。メールを受け取った側は、メールからサイトにアクセス、商品バーコードを入手し、全国のセブン・イレブンなどコンビニエンスストアで提示してギフトを受け取るという仕組みだ。

 これなら、「自宅の住所は知らないけれど……」というメル友にも気軽に、お歳暮を贈れるというわけ。11月4日のサイトオープン時には、取扱商品は、セブン・イレブンで取り扱っている飲料・菓子類など7種類だったが、今後、商品ラインナップを拡大していく予定だ。ちなみに、同サイトでは、フォーマルなギフトを自宅など指定した場所に贈ることのできるサービスも提供している。

紙の年賀状をメール感覚で作成
プリントも投函も必要なし

EZケータイPOST
「EZケータイPOST」に用意されている年賀状用テンプレートは300種類以上。テンプレートを選び、文字や写真などを挿入して、年賀状を作成する。

 さて、お次は、年賀状。KDDIは、日本郵便と連携し、au携帯を使って紙の年賀状作成をサポート、投函・配達も代行するサービス「EZケータイPOST」を開始した。携帯サイトに用意されているテンプレートを使うと、プリクラやデコメを作る感覚で紙の年賀状を作成できる。年賀状を作成した後は、携帯内のアドレス帳などから引用してあて先の住所を入力するだけで、相手先に年賀状が届く。意外に面倒なプリントも投函も必要ない。また、住所がわからない相手には、eメールで宛先を尋ねるためのテンプレートも用意されている。

 読者の中にも「年賀ハガキを買いに行ったり、投函したりする時間がなくて、プライベートな友人には、もっぱら、“あけおめ”メール」という人も少なくないだろう。このサービスは、メール感覚で、紙の年賀状の意匠をあれやこれやと工夫したり、届いた年賀状を読みながら友の顔を思い浮かべたり、といった楽しみを味わえるというのがウリである。

 効率優先の時代のなか、年賀状にしても、お歳暮にしても、「虚礼」として切り捨ててしまうのは容易い。しかし、年の変わり目に、関わりあいのあった人たちを思う習慣として遺しておきたいという気持ちは多くの人の中にあるはずだ。

 紹介した二つのサービス、まだ利用実績は出ていないが、意外に、若いケイタイ世代が、「ニッポンの大人の習慣」を伝えていく担い手になるのかもしれない。

(梅村 千恵)