自国を誇れるから、相手も尊重できる

日本人は、実は日本のことを知らない<br />『なぜ、日本では本物のエリートが育たないのか?』刊行記念特別対談<br />【出井伸之×福原正大】(前編)

福原 ご一緒したシンポジウムでは、これから必要なグローバル人材というテーマで、東から西へのビッグシフトで、アジアが世界の中心になっていく、というお話をされていました。
 そして、通信技術の発達で、情報という意味では国を越えて一つになることができるけれど、その根底にはそれぞれの文化や文明がそのまま存在するのだから、グローバル人材は、言葉のみならず、その背景にある相手の文化を理解、尊重できる人でなければならないし、もとになるしっかりした考え方を持つことが、重要だ、と。

出井 例えば、日本人が中国に赴任して働くとします。では、グローバル人材というのは、どういう人材なのかというと、中国人に対して、自分の国がどういう国であるかを語れないといけないんですよ。それができて初めて、中国と日本はどう違うのかがわかる。

福原 日本を誇れること、というお話ですね。だから、自分と異なる文化や宗教を受け入れることができる。それができて初めて、英語をはじめとした、さまざまなグローバルスキルも生きてくるのだ、と。

出井 自分の国が尊重できるから、相手の国も尊重できる。中国なら、年代によって考え方が違うことも理解できる。文化大革命のとき、相手がいくつくらいだったか、ということで考え方を想像もしようとする。相手の文化や、起こったことなどを理解して、相手の立場に立ってコミュニケーションをしようと考える。だから、会話が成り立つんです。
 どんなに英語がうまくしゃべれたとしても、それだけではグローバル人材などと言えないのは、そういうことなんです。自分の国のことも知り、相手の国のこともわかっていないと。

福原 日本の場合は、自国のことがあまり理解できていないですよね。

出井 本当に驚くべきことですが、そうなんです。日本人は、日本のことを知らないんです。例えば、日本には鎖国の歴史があった。それは記号的にはもちろんみんな覚えているんですが、では鎖国は日本にとってどんな意味を持つのか、自分の意見を語れる人は少ない。
 答えはないんです。鎖国をポジティブに捉えてもいいし、ネガティブに捉えてもいい。どっちでもいいから、自分なりの見解で鎖国が語れるかどうか。そういうことを考えながら生きている人は少ない。でも、考えている人は面白いですね。話が弾む。こういう人は、外国人と話しても話は弾むんです。英語ができても、話す内容がなければ、話は弾みませんからね。言葉よりも、はるかに重要なんですよ。
(後編に続く)


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TEL:03-5778-7294(担当:中島)
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