東日本大震災の津波で、多くの児童が犠牲になった石巻市大川小学校の惨事を検証する委員会の設置が、石巻市議会で審議されている。12日には、文科省がまとめた遺族の意向を、市議会環境教育委員会が“了承”。今後、一般質問を経て、本会議で予算執行を認める採決がされる流れだ。

これに先立ち、文科省は11月25日に、文科省、県教委、市教委、遺族の4者による円卓会議(2回目)を開き、検証委員候補や、事務局を委託するコンサルタントの候補を遺族側に示した。

文科省側は会見で、「1名の人選を除き、遺族の大きな異論はなかったと判断した」と説明。しかし、後日入手した会議録から読み取れるのは、人選、内容ともに、行政側の都合や結論ありきで会議が進められた実態だった。真相究明を求めて活動してきた遺族たちも、文科省の合意形成のプロセスに反発している。

「大きな異論はなかった」と語る文科省
遺族は“不満でいっぱい”の表情に

 遺族の23家族30人が参加した会議は、メディアには非公開で行われた。西日が落ちて辺りが暗くなり始めた頃、合計3時間半に及んだ会議を終えて、遺族たちが部屋から続々と出てきた。

 顔なじみの記者たちの顔を見たとたん、「もうだめだ。事後対応やらないんだもん」といって泣き出す母親や、「異論が言えない雰囲気だった……」「よくわかんねぇ人物が何人もいる」と、呆然とした表情で話す父親たちもいた。皆、表情はこわばり、動揺していた。

「こんなもんでしょ」と、冷静に話す遺族もいたが、文科省の提案を好意的に受け止めた遺族には、出会わなかった。

 真相究明を求めてきたある遺族に、納得したどうか質問すると、

「俺たちの意見を、異論や批判だと思ってくれていない。文科省は、一方的な考えを言っているだけで、なんかもう決まっているような話し方。作業メンバーは、特に信用できる人が1人もいない」

 と、不信感をあらわにした。

 文科省の前川喜平 子ども対策支援室長・官房長は、会議後の会見で、「1名の人選については異論が出たが、そのほかは大きな異論はなかった」との説明をした。

 しかし、会見前が始まるまでの間に私たちが目撃した、会議後の遺族たちの様子は、“異論がない”どころか、明らかに“不満でいっぱい”といった表情や反応だった。

 それがなぜ、「大きな異論がなかった」と文科省にみなされてしまっているのか。実際に、会議ではどんなやりとりが交わされたのか、非常に気になった。