病院や学校などに強みを持ち、善戦する中堅ゼネコンとして注目されてきた戸田建設が2期連続の赤字となる。背景には、復興需要によるコスト急上昇、それに伴う建築業界の苦境がある。

 バブル崩壊後のゼネコン大不況時代を耐え抜き、「中堅ゼネコンの優等生」と呼ばれて頭一つ抜きん出た存在だった戸田建設が東日本大震災後、一転して苦境に陥っている。

 図(1)にあるように、2012年3月期に続いて、13年3月期も赤字決算となる見通しだ。前期は199億円の赤字、そして今期は385億円と、当期損失は2倍に膨れ上がる。

 最大の原因は、復興需要に伴って職人が不足、労務費が急騰したことだ(図(2))。

 バブル崩壊後、低迷を続けていた建設需要だが、08年のリーマンショック後はいっそう冷え込み、鉄筋工や型枠工など、技能工の活躍の場はどんどん少なくなった。それに伴って職人の数も減少傾向にあったが、それでもなお過剰感はぬぐえず、労務費は大きく下がった。