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睡眠を啓蒙するニュースが大量に供給されても
日本人の睡眠不足が改善されない「不毛なサイクル」

工藤 渉
2012年12月20日
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 健康と科学に関するニュースで最も消費されているのは、肥満とダイエット関係、そして睡眠に関するものだろう。難病や新しい感染症、加齢などの問題に比べ、直ちに害がない(気がする)して深刻度が低いため、ちょっとした話題として取り上げやすいのかもしれない。

 肥満に関してはカロリー制限と適度な運動、睡眠不足にはもちろん睡眠という明確な回答がある。しかし、このシンプルな解決法も現代人、特にビジネスパーソンにとってはかなりハードルが高い。睡眠を例にとれば、まず十分な時間が確保できないのだ。

 よって、常に睡眠に関するおびただしい研究や調査が行なわれ、ニュースとして睡眠不足のビジネスパーソンに供給され続ける。この不毛なサイクルは止まりそうにない。

 睡眠に関する比較的新しいニュースをいくつか紹介しよう。まず「やる気が出ない原因、睡眠不足4つのサイン」。やる気が出ない、イライラ、注意力散漫の原因には睡眠不足が考えられるという報告だ。

 次に「就寝時間で睡眠満足度に格差あり」。就寝時間が遅いほど睡眠時間が短くなり、睡眠満足度が低くなる傾向がアンケートで判明したというニュース。睡眠の質の問題か量の問題かを見極めるためにも、まずは早寝をすることだという。

 切り口が新鮮なのは、「8割のビジネスマンが睡眠不足で悩み」。これは「睡眠と出張に関する調査」で、多くのビジネスパーソンが可能なら睡眠時間を買いたいと考えていること、出張時には仕事が早く切り上がるし家族サービスもないので、普段より早く就寝できることがわかったというもの。

 その他、睡眠不足による頭痛、目眩、生活習慣病への悪影響などは、ご存知のように長年にわたり繰り返し叫ばれていて、その害悪は明白と言える。にもかかわらず睡眠に関する「ニュース」が状況報告、話題提供に留まり続けるのは、睡眠の量と質を改善するための根本的な解決策を提示しにくいからだろう。突き詰めれば、労働問題に踏み込むことになり、「健康」や「科学」の話題から逸脱してしまうのだ。

 啓蒙活動にもかかわらず、日本人の平均睡眠時間は減り続けていて、世界でも最短レベルである。睡眠は量より質で、個人差も大きいと言われるようになったが、あくまで一定の量を確保した上でのことだ。このぶんでは、睡眠に関するニュースは今後も“安定供給”され続けることだろう。

(工藤 渉/5時から作家塾(R)

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