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インキュベーションの虚と実

【番外編】
狂ったように働き、ヘルシーな嫉妬で成長する
スタートアップに必須の「ホットスポット」とは

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【番外編】 2013年1月4日
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 この刺激と嫉妬、悔しさを感じるタイミングは、仲間の間では何度もあるのだという。ベンチャー・キャピタルから出資を受けたり、事業売却に成功したり、ましてや上場を果たしたとなると、周囲の反応は凄まじい。「以前、仲間が上場を果たしたと聞いて、キレちゃった仲間もいた。その日から猛烈に仕事をして、彼も上場を果たした」(川田氏)のだそうだ。

 お互いに刺激を与え合い、切磋琢磨を続ける起業家仲間がホットスポットなのだ。川田氏はホットスポットが事業や仲間に与えた仕組みと影響として、以下の5つを挙げた。

(1)発火の連鎖作用
(2)ドラマチックフィルター
(3)圧倒的なクオリティスタンダード
(4)ヘルシーな嫉妬
(5)目線の上昇

 さらに、川田氏はこう付け加えてくれた。

 「ホットスポット化した集団のなかで、それぞれのメンバーはやる気がみなぎりアドレナリンを出しながら、世界を変えてやるってがむしゃらに走っている。でも、いつか息切れしちゃう。でも仲間がいて、ホットスポット化した集団だと、常に誰かがアドレナリンを出している。だから、息切れしても『あいつが頑張っているんだからオレもやらなきゃ』と連鎖して、再び発火する。だれかが成功したと聞けば、嫉妬を感じてターボチャージャーのスイッチが入り、さらに頑張る」

 息切れしても、仲間から刺激を受けて再び発火することは、まさに(1)で挙げた「発火の連鎖作用」だ。そして、嫉妬を感じるのは(4)の「ヘルシーな嫉妬」だ。これによってターボチャージャーが点火し、事業を成長させる推進力となる。

 登壇者の間では、この「ヘルシーな嫉妬」について共感が大きかった。川田氏も「これまでヘルシーな嫉妬が、事業を前に進め、成長のきっかけとなってきたケースを何度も見てきた」と話す。

 そんな川田氏も、1999年に南場智子氏と共にDeNAを創業し、ちょうどITバブルが起きた2000年頃、創業メンバーも猛烈に働き、ホットスポット化していたと振り返る。

 まさに川田氏が中心的存在となっていた創業したDeNAが、創業期にホットスポットとなって努力をし、今や一部上場を果たし、営業利益600億円を生み出すまでに成功しているのだ。それを考えれば、同氏の説くホットスポットが、起業家にとっていかに必要不可欠かということは、疑いの余地もない。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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