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インキュベーションの虚と実

【番外編】
狂ったように働き、ヘルシーな嫉妬で成長する
スタートアップに必須の「ホットスポット」とは

本荘修二 [新事業コンサルタント]
【番外編】 2013年1月4日
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 「いまは当たり前だが、女性の起業家は当時は珍しく、女性ということで、必要以上にチヤホヤされ、前述した川田氏が言うようにお互いに対等な立場で切磋琢磨する仲間を得るのは難しかった」

 本荘氏が連載第14回で振り返っているように、昔の女性起業家はマイノリティゆえに、肩肘張っているところがあったという。ゆえに、一部の女性起業家は後輩女性起業家に対して、「教祖様」や「女王様」のように振る舞う者もいたようだ。

 奥田氏は、そうはなるまいと意識し、「SPARK!を作るときは、私を何か特別な創設者とかリーダーとか、そういう存在ではないということを、メンバーに言っています」と話す。さらにこう続ける。

 「お互いがつながり、お互いの周りにあるチャンスを、一緒に共有する。チャンスがないと悩んでいる人がいるけど、つながりを持つ他のメンバーが、自分が必要とするチャンスをもしかしたら得ているかもしれない。それを共有していくことができる」

Chrysmela代表取締役菊永英里氏

 リーダー格の起業家を崇めさせるようなコミュニティでは、お互いのチャンスをシェアするという意識は生まれないだろう。実際に、本イベントに登壇したピアスキャッチをはじめとしたアクセサリーや雑貨を製造・販売を手がけるChrysmela代表取締役菊永英里氏は、自分一人で事業を行っていては得られないチャンスを得ている。

 「アントレプレナーシップジャパンに参加することができ、受賞もさせていただきました。さらにニュースでしか聞いたことのなかったAPEC(アジア太平洋経済協力)にも参加することができた。SPARK!というコミュニティを通じて、たくさんの人と会えたし、情報も得ることができた」

会社内では得られない
自信、刺激、闘争心

株式会社VOYAGE GROUP社長室の椿奈緒子氏

 SPARK!は、自ら会社を興している社長でなくてもメンバーとして参加できる。そのメンバーが起業家精神を持つ会社員、椿奈緒子氏だ。VOYAGE GROUP社長室に属している。椿氏は、会社という組織にいるからこそ感じるSPARK!のメリットを話してくれた。

 「会社で新規事業に積極的に手を挙げて今までいくつもの事業開発に関わってきました。社内起業だと得られる情報や人間関係の大部分は、社内に限定されてしまう。社内のコミュニティを飛び出ることは難しい。しかし、SPARK!では社内では到底得られないものを得られる。それから、自信や刺激、闘争心も得られる」

 奥田氏はSPARK!を、将来的に多様性のある女性のコミュニティに育てていきたいと語る。それができたとき、きっと女性起業家も増え、昔のように女性起業家が崇められる存在ではなくなるだろう。そして性別関係なく、それを見た他の起業家たちが「ヘルシーな嫉妬」を感じ、日本のスタートアップ界を賑わせる存在になるかもしれない。

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本荘修二

新事業を中心に、日米の大企業・ベンチャー・投資家等のアドバイザーを務める。多摩大学(MBA)客員教授。Net Service Ventures、500 Startups、Founder Institute、始動Next Innovator、福岡県他の起業家メンター。BCG東京、米CSC、CSK/セガ・グループ大川会長付、投資育成会社General Atlantic日本代表などを経て、現在に至る。「エコシステム・マーケティング」など著書多数。訳書に『ザッポス伝説』(ダイヤモンド社))、連載に「インキュベーションの虚と実」「垣根を超える力」などがある。


インキュベーションの虚と実

今、アメリカでは“スタートアップ”と呼ばれる、ベンチャー企業が次々と生まれている。なぜなら、そうした勢いある起業家たちを育てる土壌が整っており、インキュベーターも多く、なにより、チャレンジを支援する仕組みが存在するからだ。一方の日本はどうなのだろうか。日米のベンチャー界の環境の変化や最新のトレンドについて、25年にわたってベンチャー界に身を置いてきた本荘修二氏が解説する。また日本でベンチャーが育ちにくいと言われる背景を明らかにし、改善するための処方箋も提示する。

「インキュベーションの虚と実」

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