ねたみという言葉を辞書で調べると、すごいことが書いてあります。

 「相手の長所や幸せをうらやんで、その幸せを壊したいと願う心」

 これを読むと、ねたみは、どうみても悪い感情にしか見えません。ほかに相手の不幸を願う感情として、「恨み」や「憎しみ」があります。でもこの2つは、相手からなんらかの危害が加えられたことへの仕返しの感情で、なんとなく、フィフティー・フィフティーの感があります。

 しかしねたみは、相手からはなんの危害も加えられていません。こちらが一方的に、相手の不幸を願い続けるわけです。ですからきっとねたみという感情は、わたしたちの感情のなかでいちばん醜いというレッテルをはられているのではないでしょうか。

鼻づまり・背中の痛みがあった
Tさんのケース

 同級生の息子さんをもつ、Tさんとお隣さん。同じ大学を受験し、お隣りの息子さんは合格、Tさんの息子さんは不合格。それをキッカケに、ねたみの感情に悩まされていました。

 3年ほど前から、鼻水・鼻づまりに悩まされていたTさん。彼女の体を診ると、おでこの骨と背骨がゆがんでいました。背中の肩甲骨と肩甲骨のあいだの部分をさわると、けっこう痛がります。

 Tさんは5~6年前にも、ストレスが原因のゆがみで、わたしのクリニックに通っていたことがありました。そのときわたしは、この世に必要のない感情など存在しないということをよく話していました。

 今回も、Tさんにストレス性のゆがみの兆候があらわれていました。 わたしはTさんに、今回の病状が出はじめた3年前に、何か大きなストレスがなかったか聞いてみました。

 しばらくの沈黙のあと、Tさんはボロボロと涙を流しながら、打ちあけてくれました。

 「先生……わたし、ねたんでいるんです……」

 Tさんは3年前から、隣りの家の奥さんに強いねたみの気持ちをもち続けていたのだそうです。Tさんとお隣りさんには、同級生の男の子がいます。息子さんたちは3年前、たまたま同じ大学を受験しました。

 結果は、となりの家の子は合格、Tさんのお子さんは不合格でした。 その日から3年間、彼女はとなりの家に犬のフンを投げ入れたといいます。

 「こんなことしてはいけないと、わかっているんです。こんなことはもうやめようって思うんです。でもね先生、となりの奥さんの顔を見ると、もう憎らしくて憎らしくて。ハッと気づくと、また投げ入れているんです。先生、こんな気持ちにも意味なんてあるんでしょうか……」

 Tさんがこのようにねたみを必死におさえようと苦しんでいました。しかし、ねたみをおさえようとするほど、さらにねたみを感じさせる体のゆがみが生じてしまうのです。